ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 月と復讐とチャットルーム ( No.2 )
日時: 2011/10/21 12:48
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

第一章 「二つの月の再会」

1.新月からのメール

弓月望美がそのメールに気がついたのは、20歳の誕生日の夜21:15だった。



「なに、このメール…。」

差出人の欄には、「NEWMOON」と記されていた。そして件名は、「久しぶり。」

PCに届いた、謎のメール。差出人は、NEWMOON。件名からすると、自分の知り合いだろうか…?

「…まさか。」

NEWMOONは、英語で新月の意味だ。午前中のうちに上って、夜には姿を見せない月。

新月、と聞くと、望美はある漢字を思い出す。

「朔」

「新月」という意味のこの漢字。まさか…。





久しぶり。FULLMOON。僕が誰だかわかるかな?
わかるよね。僕の名前はNEWMOON。

実は、君の力を借りたいんだ。僕と一緒に「計画」を実行してくれないかな。

下のURLをクリックして。それは僕の作ったチャットルームだ。入る際には暗証番号が必要になるけど、FULLMOONになら分かるはずだよ。


忘れられない、あの日。

○○月○○日。


僕は君が来るまで、毎晩19:30〜21:30までチャットルームにいる。その二時間の間に、僕に話しかけてくれ。

楽しみにしてるよ、FULLMOON。



「…朔…矢?」

乾いた声が、望美の口からもれた。

自分のことを「FULLMOON」と呼ぶこの人物。

FULLMOONは英語で「満月」の意味だ。そして満月を現す漢字は…

「『望』…」

望美はつぶやくと、カーソルを移動させる。下のほうに、URLがのっていた。

「…どうしよう。」

信じていいのだろうか。これは本当に、朔矢が送ってきたのだろうか。

望美は悩んだ。



気がつくと、望美の腕時計は21:25を指していた。

「あと五分…。」

あと五分で、朔矢は例のチャットルームから消えてしまう。

「…っ。」

望美は、決心した。