ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 月と復讐とチャットルーム ( No.29 )
日時: 2011/11/27 10:23
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

6.何かが胸に…

「ごめん、私そろそろ帰らなきゃ…。」

「MAPLE HOUSE」から出ると、望美は言った。

「え、何か用事?」

「うん。ごめんね。先に帰る。」

「うん、わかった。じゃあね、望美ちゃん。」

「うん、また。真夜君、朝乃。」

「ばいばーい!!」

朝乃と真夜と別れると、望美は近くの階段を降りる。

そして、校内地図を見つけると、それを頼りに、ある場所へ急いだ…。

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西村 健輔は動揺していた。

(まさか…あの子は。)

「弓月」という名字。珍しい名字だと思う。

10年前、新聞の一面を飾ったあの連続殺人事件。被害者の名前をローマ字表記にし、その頭文字を殺された順に読んでいくと、「REVENGE」…「復讐」となる。

その復讐劇の最初のターゲットとなった夫婦の名前。

弓月 陸斗
弓月 江梨子

「R」、そして「E」。メッセージの最初の二文字。

(あの子は、あの弓月の子供か…?)

西村はぞっとする。あの子は自分たち「遺族」を恨んでいるのではないだろうか。弓月 望美のあの冷たい目。自分に向けられていた、あの冷たい目…。

(…い、いや。私が遺族だっていうことは、わかるわけがない。それに、恨まれているからってそんなにビビることはないじゃないか…。)

それでも、西村は何か嫌な予感がしていた。何か、恐ろしいことが起きるような…。

「戻るか…。」

R高校には、「理事長室」というものがある。とりあえず、そこに行って落ち着こう…。

西村は理事長室に向かった。

着いた。

ドアを…開けた。

その瞬間、何かが、西村の胸を刺した。