ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 月と復讐とチャットルーム ( No.30 )
日時: 2011/11/27 10:38
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

7.満月は赤く染まる

「うっ…ぐっ…!?」

うめき声をあげて倒れる西村の身体を、望美は受け止めた。

そして乱暴に床に寝かせると、半開きになった口に、理事長室の机の上にあった書類をちぎってつめていく。

西村はまだ息があった。目を見開き、望美を凝視している。

「ごっ…ごほっ…ぐっ…。」

「…わかってるでしょう?私の正体くらい。」

感情のない声でそう言い、望美はどんどん書類をちぎり、つめていく。

西村は苦しそうにせき込み、喉をかきむしる。

「10年前、私のお父さんとお母さんは殺された…あの「遺族」の、荒木優太に…。」

「遺族」を強調し、望美は壊れた人形のように感情のない声で続ける。

「だから、私達も復讐してやるの…「遺族」にね…。」

そう言うと、望美は先ほど西村を刺したナイフを持った。

「愛美さんのところに、行ってらっしゃい…。」

「愛美」と聞いた途端、西村の目がかっと見開かれた。

「が…ふっ…」

「…死ね。」

望美は、再びナイフを振り下ろした。

西村は、一言も声を発しず…いや、発せずに…息絶えた。