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Re: 月と復讐とチャットルーム ( No.43 )
日時: 2011/12/25 10:54
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

第五章

1.

工藤 紗江殺害のニュースを、望美はじっと見ていた。

まだニュースでは、あのアルファベットのことを放送していない。ただ、そろそろ警察も気づき始めているだろう。この一連の事件に、繋がりがあるのだということを。

朔矢が指定したメッセージ、「REFRAIN」。音楽で、「繰り返し」という意味。

望美が理解できないのはこれだけだ。なぜ、「REVENGE」ではないのか。なぜ、「REFRAIN」なのか。

少し疑問に思いながら、書類を取り出す。四人目。今度は誰だっただろうか…。


*原谷 和也
 
 職業:サラリーマン
 住所:Z区 KU 5−27−3
 10年前に死んだ人:麗音(弟)

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「…!!おい、まさか…。」

「そうです。今までの被害者の共通点。10年前の、HACの事故で、身内を亡くした遺族達なんですよ!!」

滝の持ってきた書類には、10年前のHACの事故で亡くなった被害者たちの名前と、家族の名前が記されていた。ピンクの蛍光マーカーで、三人の遺族の名前がチェックしてある。


「篠原 麻衣」
「西村 健輔」
「工藤 紗江」


そして、彼らの身内。亡くなった被害者が、青の蛍光マーカーでチェックしてある。


「篠原 連」
「西村 愛美」
「工藤 風助」


「これは…」

「容疑者はおそらく、HACで働いていた人間、あるいは関係する人物なんじゃないでしょうか。彼らのうちの誰かがきっと、HACがつぶれたことを逆恨みに…。」

「…いや、違うだろう。」

朋崎はきっぱりと言った。

「HACの関係者の犯行じゃない。いや、そうかもしれないが、ほかの可能性もある。」

「…誰、ですか?」

朋崎は10年前を思い出した。息子が亡くなり、半狂乱になっていた荒木 優太。「REVENGE」をメッセージとして、7人のHACの社員を殺した。そして、10年後。また同じことが起ころうとしている。

「10年前、荒木の事件で亡くなったHACの社員の、遺族じゃないのか…?」