ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 月と復讐とチャットルーム【参照400超え!!返信70突破!】 ( No.75 )
日時: 2012/03/28 10:43
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

第8章

1.取り残された二人

NEWMOON>おつかれ。

FULLMOON>うん。ありがとう。


久々に、朔矢とチャットルームでチャットする。


NEWMOON>さ、じゃあ次は僕の番だ。

FULLMOON>うん。頑張って。

NEWMOON>うん。それじゃあ。僕は落ちるよ。

FULLMOON>ちょっと待って。


望美はあわてた。こんなことを話にチャットルームルームに来たわけじゃない。


NEWMOON>…何?

FULLMOON>この間のこと、どう思ってるの?

NEWMOON>この間?


…わかってるくせに。

望美は腹が立った。


FULLMOON>私が朔矢についていくって話。


待った。

返事は、表示されない。

(朔矢…。)


「NEWMOONさんが退室しました」


「ちょっと…朔矢!!」

望美の叫びはパソコンの画面の向こうに届くはずもなく。

チャットルームには、望美だけが取り残された。

++++++++++++++++++++++++++++++++

朋崎はぼんやりとしていた。

目覚まし時計を見ると、午前11時。今日が出勤日でなくてよかったと思う。どの道、まともに出勤できたとは思えない。

滝が死んだ。

公園の中に、血まみれで倒れていたという。公園内のセメントの山に、血文字で「I」と書いてあったのだとか。

「I」…滝の祖父、滝一郎の、名前の頭文字。

HACの事故…それは、いろいろなことを変えてしまった。

そして朋崎は、HACの事故によって二人の大事な人を失ったのだ。

親友と、部下を。

弓月陸斗と、滝亮介を。

朋崎は、一人取り残された気分だった。