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Re: 月と復讐とチャットルーム【参照400超え!!返信70突破!】 ( No.80 )
日時: 2012/04/20 09:37
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

6.

しゃべれない。しゃべろうにも、空気が全て喉から洩れる。

晃は驚愕の表情で、目の前の青年を見た。

青年は顔にかかった血しぶきをぬぐおうともせず、ひきつった笑みで晃を見ていた。

晃はひざから崩れ落ちる。

青年が、刃物を手に近づいてくる。

なぜ…なぜ?

この青年は、俺に何の恨みがあるんだ。

青年は刃物を振りかざした。

ああ…ああ…!!

「ぃ………ぁ」

精一杯、息子の名前を叫んだ。しかし、それはかすれ声よりも小さくかすれた音にしかならなかった。

左胸を、激しい痛みと衝撃が襲う。

「…」

何も言えないまま…晃はどさりと倒れた。

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ザー……

…雨が降りしきる。

傘もささずに、朔矢は通りを歩いていた。

人通りはなく、彼の姿を不審に思うものもいない。

先ほどシャワーを浴びたばかりなので、彼の体は温かかった。

もう一度、朔矢はアパートを見やる。

薄暗い夜の闇の中、明かりのついた部屋がいくつか。

その中に、木下晃の部屋もある。

大雨の降る、どこにでもあるような住宅地。

そこで、月達の復讐は終わった。