PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 月と復讐とチャットルーム【参照500超え!!返信80突破!】 ( No.87 )
- 日時: 2012/05/18 09:55
- 名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
4.月は狂い、笑い、泣く
「親子。」
望美の口から出た、衝撃的な言葉。
ぼんやりと、パソコンの乗ったデスクに目をやる。
そこにも、写真。フォトスタンドに、4人の人物がうつった写真がある。
前まではそこに、香織との2ショットを入れていたな…と、思う。
昔の写真だ。あの河川敷で、家族4人で撮ったもの。
朔矢が14歳、望美が9歳。あの事件の、1年前の写真。2人掛けベンチに、江梨子と望美が並んで座り、陸斗と朔矢がベンチの後ろに立っている。陸斗はしっかりした笑みを浮かべて。江梨子はにっこりとほほ笑んで。自分は照れ臭そうにはにかんで。望美は満面の笑みで。
笑顔であふれたこの写真。この、自分たち。
泣き寝入りしてしまった望美に目をやる。この写真の望美より、11歳歳をとった望美。
朔矢は二人を見比べる。同一人物なのに、まるで別人のような二人を。
いつから、変わったのだろう。いつ、大きな変化が起こったのか。
そんなの、わかっているじゃないか。
そんなこと、とっくに気がついていたんじゃないのか。
あの望美を、あの自分を、殺してしまったのは…。
荒木優太と、もう二人いるじゃないか。
「…ははっ。」
自嘲的に、笑う。笑いは止まらない。次から次から、こみあげてくる。
「はははは。はははははははは…。」
狂っている。狂って、笑って、泣いている。
いつの間にか、涙が流れてきていた。
「ははははははっ。ははははははははは…。」
泣く。笑う。泣く。笑う。
そうだ。僕も望美も、殺された。
荒木優太と…
「弓月朔矢」と「弓月望美」に。
PR