ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ——…黒い虚空の傷は深く ( No.5 )
日時: 2011/10/06 20:15
名前: 琉架 (ID: MnBE3vuR)

...1話「奇妙な扉」...




「って、なんかガッコーが遠い様に感じる〜〜」

金髪の少女が言う
少女の名は「咲乃 彩」
何かと元気な少女だ

「彩、頭おかしくなっちゃった?」
「ユキ、それは無いよ、もう」

もう1人の少女は「外崎 小雪」
彩が心を一番最初に許した少女だ
少しめんどくさがり屋という欠点を抜かせばモテそうだ
そして少年が「宇居 良哉」
ただの高校三年生

「ほら、着いたよ」
「あ〜ガッコーだぁ……眠い…」
「彩!!ちょっと寝ないの!!!」

小雪が彩の頬を抓る
ふにーっと伸びる頬は少し黒く、元気、と言う言葉が良く似合った
次々と登校する生徒が居る中校門前で頬を抓っている少女等を見ると「変だな…」と感じるだろう

「咲乃、小雪、邪魔になってる」
「え〜アヤは邪魔になってないよ、ユキが邪魔なんだよ、宇居」
「彩も邪魔になってるわよ」
「何だよ、ユキの馬鹿」
「あはははは、海南に入ってる私が馬鹿なわけ無いでしょう」

と少し自慢気に言う小雪
実際言ってることは間違ってはいなかった

校舎に踏み入れるとまだ上履きを履いていない為、床はしんしんと冷たさを感じた
この怪しい雲行きのせいか、もしくは廊下が電気が点いていないせいか、廊下は暗かった
だが3人は気にせずに教室へと足を向けた
その時、バタンという音とともに風が吹いた
それは扉が閉まった音とその時に出来た風だった
しかしそれは奇妙なものだった
何故かというとそれは誰も閉めてないから、だ

「ん?なんで閉まっちゃった?」

次の瞬間3人は最も奇妙なものを見た

2人の女生徒が突然扉が閉まったことに疑問を持ち扉に手を触れようとした
すると女生徒は、ぐしゃり、と嫌な音を立てながら血を吹き、潰れた
それは目を疑う光景だった
女生徒は跡形もなく消え、赤黒い血だけが辺りに散っていた

「な…何が起きた、ワケ?」

彩は宇居に聞く
それは宇居が答えられるわけも無く、首をただ振るだけだった
小雪は、というとさっきの女生徒が触れた扉に手をかけた
でも小雪は潰れなくて、叫ぼうと彩の開けた口からは安堵の息がもれた
しかしその安堵は一瞬のうちに崩れさった

「あ、開かない……………」

下駄箱には、がちゃがちゃ、と言う鍵を回す音だけが響いていた