ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: RPGごっこ 【オリキャラ募集中!】 ( No.13 )
- 日時: 2011/10/13 13:55
- 名前: 更紗蓮華 (ID: 9uhgIwvd)
「……そういえば特殊ステータスってのあったな」
10分ほど上機嫌に高笑い(心の中で)していたあたしは、ふとそんなことを気がついた。
どんなのだろ……ま、期待はしないでおくかな。そう思いながら、画面をほんの少しスクロールさせると、すぐにそれは出てきた。
「ええっと、『絡繰り術師:闇』……? ずいぶんと物騒な名前だな。闇ってオイ。というかこれ、才能って言えんの?
効果は……スキル『絡繰り術:闇』の会得? スキルって、そういえばメニューにあったな」
とりあえず、物騒な名前のスキルの詳細を知るべく、メインメニューから【スキル】を選択する。
「『絡繰り術:闇』は……っと、あった。
何々、『絡繰り術:闇』Lv.1、闇と影を生みだし、物質化して操る? どうやってやるんだよ」
視線を横にずらすと、【?】という表示が見つかった。
「おお、これか。えっと、『体内にあるもやもやした力を練り、手のひらから押し出すイメージで』、か。よし、やってみよう」
それを選択して出てきた文章を読むと、一旦板から手を放し、絡繰り術とやらを試してみることにする。
「体の中にあるもやもや……ん、これか? 前にはなかったよな、これ。で、練るっと……
……練るって、こう、ぎゅってしてうにーん、でいいのかな? ……まあ、いいか」
我ながら意味不明なことをつぶやきながら、とりあえずもやもやしたものを練ってみる。
しばらくすると、初めはもやもや気体っぽかったそれが、なんだかちょっと粘土のように固まってきた、気がする。
「なんで気体が粘土になるんだか……で、これを押し出すっと。こうか?」
右手のひらを中空に向けて、その粘土を手のひらから押し出すイメージ。
すると手のひらから、タールがもうちょっと固まったような、真っ黒い粘土のような物体がうにょーんと出てきた。
「わ、ホントに出た。キモっ! ……というか、これはホントに闇って感じだね」
その粘土は日の光の中でも光を反射したりせず、ただ真っ黒い何かがある、としか見えない。
よくみると、手から直接出ているわけではなく、手から出たもやもやがその場で黒い粘土に変わっているようだ。
手から出たそれは地面に落ちたりせず、押し出されたままの筒状の形で、宙に浮いている。
「っと、そろそろいいかな」
粘土の筒が1mほどの長さになったので、とりあえず押し出すのを止める。手を下ろしても、粘土は浮いたままだ。
……えっと、これをどうしろと?
「とりあえず、動かせんのかな……うわっ、動いた」
意識を集中させて、右から左へ動かすようにイメージすると、すーっと水平に動いた。
ぐるぐる回してみたり、うにょーんと伸ばして形を変えてみたりする。
「あ、なんか面白い」
思った通りの形になるので、鳥にしたり、亀にしたり、猫にしたりと遊んでみる。
へえ、かなりそれっぽいな。真っ黒いだけで、本物の動物みたいじゃん。
「よしお前、ワンって言え!」
尻尾がくるんと丸まった、かわいい豆柴のような形になった黒粘土に、ふざけてそんなことを命じてみた。
「わんっ!」
「へっ?」
命令どおりに、吠えた。……え、そんなことまで出来るの?
かわいいちっちゃな豆柴は、真っ黒い目をキラキラさせて、真っ黒い尻尾をパタパタ振って、「ほめて!」という様子だ。
「よしよし、えらいねーっ!」
「きゅーん、わんっ!」
思わずしゃがみ込んで頭を撫でる。……ふかふか、暖かいんですけど。
黒豆柴は、尻尾をちぎれんばかりに振り続ける。
「……なんかもはやこれ、生きてない?」
「くぅーん?」
どんだけすごいんだ、絡繰り術。半ば呆れてあたしがつぶやくと、黒豆柴は首を傾げて……ふっと、消えた。
「えっ……?!」
ビックリして、思わず立ち上がりキョロキョロとあたりを見回す。
消えた。ふっと一瞬で、それこそ空気に溶けるように。……あんまり長い間、出していられないのかな?
試しにもう一度もやもやを練り、闇粘土を出してみる。今度は、10cmぐらい。
「……やっぱり」
15分もすると、闇粘土は消えた。時間制限があるのかな?
じゃあ、今度は……
その後は思いついたことをかたっぱしから色々と試していて、寝床を探さなきゃいけないことを思い出したのはもう日が暮れてからだった。
町を探すために開いた【マップ】の項目も色々試してみたかったけど、今はとりあえず最寄りの人里、アイリス村に急ごう。