ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: RPGごっこ 【オリキャラ募集中!】 ( No.25 )
- 日時: 2011/10/14 17:59
- 名前: 更紗蓮華 (ID: 9uhgIwvd)
「はあ……」
と、その後も順調に戦闘を続けて、今はちょっと休憩中。
たくさんモンスターを狩ったからか、レベルがだいぶ上がった。現在9。
ステータスが上がったせいか、後半の戦闘は楽だったし、体の動きそのものも軽かった気がする。
「だけど、こんなにバンバンレベル上がるのって、最初ぐらいだよねぇ……」
RPG的に。
実際、4,5ぐらいまでは5体も倒せばレベルが上がっていたが、もうさすがにそれほどは上がらない。せいぜい10体に一度ぐらいだ。
それでも、高レベルの人と比べれば驚異的なスピードなんだろうなぁ。ま、あたし低レベルだからね。そんなもんでしょ。
戦闘中、ただ闇雲に槍を振り回すのではなく、(アニメや漫画の模倣で)武術っぽい技術的な動きをしてみたが、
初めに比べるとだいぶ板についてきた気がする。まだまだ、子供の遊びの域を出ないけど。
まあ、それはしょうがないよね。習ってるわけでもないんだし。
「……さて、そろそろ行くか」
だいぶ疲れもとれてきたので、ほとんど無意識に出来るようになってきた影での槍の生成をしながら、座っていた椅子から腰をあげる。
「おーい、そこのクールな黒髪のお嬢さん!」
「ん?」
と、不意にどこからかちょっとバカっぽい男の声がした。
なに? 誰? 『クールな黒髪のお嬢さん』って、まさかと思うけどあたしのこと?
「そうそう、お前だよ! 黒い槍のお嬢さん!」
二度目の声に振り向いてみると、黄色のボサボサ頭に黒いコート、ジーンズを履いて腰に錆びた剣をさげたバカっぽい男がいた。
……失礼。年上の人を『バカっぽい』呼ばわりしちった。高校生から大学生ぐらいに見える。
「……誰ですか? あなた」
思わず、警戒心丸出しの声で言ってしまった。多分顔も険しいと思う。かなり印象が悪いはずなのに、そいつはニッコリと笑って言った。
「そういや名乗ってなかったな。俺は剣咲 恋だ! 気軽に恋って呼んでくれ! で、お前は?」
……はあ? 何だこいつ。初対面でいきなり呼び捨てを所望するとは。まさかナンパ?
こういうやつ、実はちょっと苦手なんだよねー。なんか、無駄にテンション高いし。
「……黒羽、紫苑です」
「シオン、紫苑か。いい名前だな!」
そういって、無駄に明るく笑う剣咲 恋。なんか名前を褒められたけど、曖昧に頷くしか出来ない。
……というか、いきなり下の名前を呼び捨てかよ。しばらくじいっとこちらを見つめていたと思ったら。
「……うん、お前、可愛いな!」
バカっぽい爽やかな笑顔で、こんなことを言ってきた。
「はあっ?!」
あたしは思わず素っ頓狂な声を上げるが、こいつは気にする様子もなく、「惚れたぜっ!」なんて言って……いや、ほざいている。
クラクラと眩暈がし始め、プルプルと手が震え始める。顔は引きつっているに違いない。
……あ、ヤバい。そう理性が感じた時には既に遅く……あたしは、プッツンしてしまったらしい。
「誰が……」
「うん?」
能天気に、首を傾げる剣咲 恋。……ああ、なんか飛び交う落書きチックな花の絵を幻視した気がする。もはやその存在自体がウザい。
とりあえず、なけなしの理性の制止の声を振り切って、あたしは目の前の軽薄男子に手をかざした。
……手のひらに真っ黒いものが渦巻くのを見て、ようやっとこいつもあたしの様子に気づいたらしい。
「お、おい。どうしたんだ?」
「誰が可愛いだあぁっっ!」
「ふべらぁっ?!」
形も整えず、ろくに物質化もしていない闇の奔流が、剣咲 恋を2,3m吹っ飛ばす。剣咲は奇声を上げて、二転三転した。
ザシュっ
「ひいっ?!」
地面に転がったそいつの頬スレスレのところに、先ほどより太く大きく、どこか禍々しくなった黒い槍を突き刺す。
剣咲は、面白いぐらい引きつった顔で悲鳴を上げた。
「なに……? なにそんな、ふざけたことを言っているのかな?」
「あ、あの……? 黒羽さん……?」
地面に刺さった槍を勢いよく抜くと、剣咲は慌てて体を起こし、あとずさり。汗をだらだらと流しながら、こちらをうかがっている。
「可愛い? あたしが? ……どうせ、会う女の子みんなに言って回ってるんでしょ?」
「そ、それは……」
「あたしは、そういうあんたみたいな……軽薄で、ふざけた男子が……」
あたしはゆっくりと、さらに巨大化した槍を振り上げる。
「……大っ嫌いなんだよッ!」
「っく!」
言葉と共に振り下ろしたそれは、剣咲の抜いた剣に止められた。錆びた剣が、ギシギシと音を立てる。
「……ちっ」
「ちょおっ?! 『ちっ』って、お前今舌打ちしたよな?! マジですか、マジで殺る気ですかっ?!」
力を入れても折れることはなく、見た目によらず案外丈夫なようだ。何やら騒いでいる輩は無視する。
このまま押し合っていても埒があかないので、もう一度手の中の得物を振り上げ……
「ちょっと待った! もう何も言いませんから、一旦その物騒極まりないものは収めないか?!」
……無視する。さらにゆっくりと振り上げ、剣咲の頭上に振り下ろ……
「一体何がそんなに嫌だったんだよ?! は、話し合おう! 話せば解る! ほら、お兄さんに何か話してみろよ!」
……寸止め。顔面数cm前で止まった槍を見て、剣咲は明らかにほっとした顔をする。
少しヒビの入った剣を見て顔をしかめると、それを杖のように使い立ち上がった。
「悩みやトラウマぐらい。誰にでもあるもんな。ほれ、人生経験豊富な『お兄さん』に話せば、ちったあ楽になるかもだぞ?」
何となくセリフの一部を強調しながら、剣咲はニッコリと笑う。
……これは、あたしがどの単語に反応したかバレてるな。頭も冷えたし、なぜかガラもなく素直に話す気になれた。
「……じゃあ、聞いてよ」
「うんうん、お兄さんにまかせなさいっ!」
もう元の調子に戻った剣咲は、満面の笑みで頷く。……また花が。
「さあ、一体どうしたんだ?」
あたしは、促されるままにちょっと昔のことを語り出した。
……も、文字数ギリギリセーフっ! ああ、危ない。……もしかして、毎回こんな感じになるのでしょうか?
構成の都合上、ブラックくんより先に恋くんが登場。ヴィオラさん、もうしばらくお待ちください。
そして、恋くんがひどい目に。主人公の逆鱗に触れたようですね。ダイさん、ごめんなさいっ!
でも安心して(?)ください。次か、次の次ぐらいにはちゃんと和解します。
次回は、主人公がブチ切れた理由です。過去話が半分ぐらいを占めると思います。