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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死神は笑う。 . ( No.5 )
- 日時: 2011/10/13 18:23
- 名前: るな. ◆7.uwki1uEg (ID: 5RAlDtaS)
【 プロローグ 】
季節は冬。 春には桜の花びらをつけていた木々も、 今は葉のひとつも付けていない。 時々吹く冷たい風が、 改めて冬を感じさせる。 カーディガンか何か羽織るものがないと風邪をひく、 そんな季節だ。
「行ってくるねー」
「行ってらっしゃい」
藍色のマフラーを巻いて家を出たのは、 この話の主人公、 葉山 深月。 黒髪で、 毎日ツインテールが特徴の女子高生だ。 見た目中身も平凡で、 目立ちもしない、 嫌われてもいない、 何処にでもいる普通の人間だった。
家を出ると待ち受けるのが、 手に息を当てて待っててくれた優李と、 何やら震えて歯をガチガチ鳴らしている恵登。 どちらも深月の幼馴染で、 昔ながらの腐れ縁だ。
「あ、 おはよう深月」
「おはよっ、 優李!」
とびきりの優しい笑顔で迎えてくれた優李に、 深月もそれなりの笑顔で返す。
「遅ぇーよ、 風邪ひいたら慰謝料だせよ?」
その隣、 憎まれ口を放つのが恵登。 歯をガチガチ鳴らしているところを見ると、 本当に寒かったようだ。
( そーだ。 恵登って、 寒がりなんだっけ )
「おはよ、 恵登。 風邪ひくって? 馬鹿は風邪ひかないって言うじゃん」
「うっせー」
憎まれ口に通用するのは憎まれ口。 深月も嫌な言葉を返すと、 必ず戻ってくる言葉が「うっせー」。 もう口癖になったのだろうか、 恵登は何事にも「うっせー」と返すようになった。
「もー、 二人ったら朝から。 もう行くよー」
「うん」
「おー」
そう言って歩き出す二人。 いつも通りの朝を迎えた三人。
そんな三人に待ち受けていたのは、 あり得ないほど残酷な物であった。
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