ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 銀の瞳 ( No.4 )
日時: 2011/10/21 16:11
名前: 唯菜 (ID: pzcqBRyu)

第1章〜さようなら〜 

#01「探偵さん、いらっしゃ〜い」


「鐘宮、これ運んで」
机の上に、山積みの本がどっさりと置かれた。
「はい」
図書委員の鐘宮雫と塚本香奈は、放課後も本の整理をしていた。
新学期になり、新しい本が来たりして、それを運ぶ作業をしていた。
先ほど雫を鐘宮と呼捨てしたのは、二人の先輩、2年の佐賀颯。
「先輩、これ、こっちですか?」
「ああ、それはそっちのコーナー」
そっちって…あなた指差してるの奥の奥の奥ですけどッ!?
「…わかりました」
どうせ、終わるまで帰れないと思った雫は、せっせと奥へ足を急がせる。「えーと…ここかな…」
雫は動きをとめた。————そこには、なにかがいた。なにかが。
「あの…」
その黒い影がゆらりと動くのが見えた。雫はゾッとする。緊張して体が動かない。


すると、よく通る、男の人の声がした。





「だれ?」


             ◆


影は、ゆっくり動き、大きなもの……人?
「あ、あの…」
「邪魔だった?」
男はあくびをしながら、先をうながすように雫を見つめた。
「あの…あなたの方こそ…だ、誰でふか!?」
やばい。緊張しすぎて口がまわらない。
すると男は右手に持った本を閉じ、口を開く。


「僕の名前は、藤咲哲哉。探偵部の部長だ」