ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 平和の哥 ( No.4 )
- 日時: 2011/10/29 23:07
- 名前: 月夜の救世主 (ID: s.HbjPwj)
- 参照: ameblo.jp/pokemon19/
『あら……人形兵、必要なかったかしら?』
「お前か!!余計なお節介はいい!というか大体、こいつら……ちゃんと出来てないんじゃないか!?」
『ええ。まだ試作段階ですよ。試しに戦わせましたが……まだ人間さえも見分けがつかないんじゃあ、まだ改良がいりますね。』
「……なんでお前はそんなに冷静にしてられるんだ……。」
『当たり前じゃないですか。私は戦ってないんですから。そいつらを破壊して、そこの庶民を拘束してきてくださいね。」
通信を切断し、人形兵破壊に取り掛かった。
生身の人間ではないため、防御力が結構ある。アーロンは大剣を振り回すが、また体制を立て直される。そんなアーロンを見かねた青年は懐から【パイロープ】を出し、アーロンに投げ渡す。
「……なんのつもりだ!」
「お前も若いだろ?しかも隊長。そんなんで死んだら、馬鹿みたいだろー?」
「……どう使えばいい。」
「あぁー!貸せっ」
青年は【パイロープ】を大剣に吸収させた。すると大剣から炎が燃え上がる。驚いたアーロンは大剣を振り回して炎を消そうとするが消えない。
「そりゃそうだろな。こいつぁ、魔力の炎だしな。普通に戦うより武器の力も混ざって攻撃力がぐーんとあがる。俺、武器無くしちゃって……代わりに倒してっ」
「お前な〜!!敵に対しての態度じゃないだろう!!……まあ、とにかく。こいつらを処理することから始めるか。」
燃え上がる大剣を大きく降り下げる。すると地面から炎が噴き出し、人形は燃え上がった。しばらくもがいたが、動かなくなった。
「死んだ……のか。」
「いや、機能停止だ。……さて、来てもらおうか。」
「断るって言っただろ。せいぜい、下級兵の人たちと頑張ってなー。」
「ま、待て……」
「虎の雷……閃光の瞳!タイガーズアイ」
眩い閃光が放たれる。
しばらくしてアーロンが目をやっと開けられた時には、もう青年はいなかった。
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「……取り逃がしました……」
「あら?隊長がミスをするなんて。」
「……まあ、いいであろう。この私に見通せない世界は無い……。」
アーロンは初めてミスをした。
完璧主義である彼にとって、これは痛いミスだった。
悔しい感情も人一倍。そして決意の強い彼は、今度こそと執念に燃えた。
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「はぁー、撒けた、撒けた!」
一方、アーロンを撒き、上機嫌な青年。
ポリンティカから場所を移し、また放浪としながら宝石売りを続ける。
それを繰り返すのが彼の生きがいである。それを拘束されてしまうと、人生が終わったも同然だと彼は必死で逃げてきた。
「あの隊長さんもしつこかったな〜。そんなに俺にこだわらなくっても……。と、いうより……また妙な法律が出来たな〜……。この世の中もまた混沌と化しそうだ。」
そんな人事のように、お気楽に旅を続ける青年の背後に人影が。
後ろを振り返って、「なんだよ……」とちょっと不機嫌そうにその人影に問う。
夜なので、顔が確認できない。すると暗闇から、球型のライトが光って、宙に浮く。ライトはその人影の顔を照らした。
「こんばんは。さっきの一部始終、見させていただきました……。」
男性のようだ。
深い青の髪の毛を揺らして、軽く一礼した。
「さっきの一部始終って?」
「あのアーロン隊長から逃げられた、スキル所持者の方……ですね?」
「……う、うん……そうだけど?」
「これは失礼。僕はシリル・バシュラール。反政府レジスタンスの一人です。」
「反政府レジスタンス!?ってことは、あんたら……今ちょっと有名な反逆者っての?」
「えぇ。同じ心を持つものは多い。あなたに力を貸していただきたいんです。」
「ってことは……」
「はい。僕たちの仲間になって欲しいんです。」
唐突な願いだった。反逆者の仲間なんてまた厄介な……。勿論すぐに断るつもりだった。が、シリルの話を聞いて少し考え始める。
「奴らは、この一年で10の都市を滅亡させました。まず一つは反逆をおそれたこと。もう一つはスキル所持者がいたこと。そして最後は軍用魔物、人形にすること。」
「何だと……」