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第五話　〝出来損ない〟


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痛い・・・

おなかがとても痛い
何がおこったの？

私は目の前の人を見る
その人はただ、静かに私を見ていた


あの人の右手が私のおなかにめり込んだ

何故？

私の速度（スピード）は最高だったはず
なのにどうして？

そんな疑問が私の頭を駆け巡る



「痛いか？」


不意にあの人が尋ねる
痛いですって？
当たり前よ・・・


「えぇ・・痛いわ・・・」


痛い・・
とても・・とても痛い・・
私・・・泣いてしまいそう・・・


すると、その人は少し驚いたような顔をした


「何故？」


何故？

痛みを感じて当たり前の傷（ダメージ）よ・・・

私はおなかを押さえる


「あぁ、貴方は“失敗作”でしたか」


“失敗作”？
なぁに、それ


「完全な“戦闘型（バトルタイプ）”になれなかった、〝出来損ない〟ですね」


その言葉に、私の頭はカチッと音を立てた
眼の裏に数字が駆け巡る
危険感知システムが働く

待って・・・

頭の中で声がする
それは、＜人間＞の“私”の声

記憶する部分が熱くなる

あぁ・・・私は・・・“私”は・・・


「人間と兵器の中間に立つ私たちに・・・〝出来損ない〟は必要ありません」


その人は音もなく近付く
それがとても美しく思えた


眼を閉じた私が最後に思い描いたのは・・・





















“私”が捨てた家族の姿だった