ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.105 )
日時: 2012/10/13 22:59
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: AKehFwYl)

第四十話 望むもの


「泣いているの」


私は言った

あの人は微笑んだ

弱弱しい笑み


「どうして泣いているのですか」


尋ねるけど微笑しか返ってこない


「悲しいのですか」


ただただ微笑がある


「痛いのですか」


綺麗に微笑む


「辛いのですか」


あの人は口を開いた



そして・・・・・・・・










「         」



聞き取れない

私には聞き取れない



存在してはいけない私とこの世界に必要なあの人は、存在するはずの無い場所でこうして出会うことができた


綺麗な場所

泉があって、自然があって、動物たちもいる

そして沢山の人々の笑い声、笑顔


それはすべてあの人が望んだもの


あの人は世界を光へ導こうとして、滅びかけた

世界中の愚かな人間があの人の研究を奪おうとした

あの人は周りの人と共に立ち向かった

けれど、人間たちは研究を奪い、悪用しようとした

それを止めるためにあの人は“私”を造りあげた


真実は隠蔽された

今の博士たちも真実を知るものは少ないだろう

そして人間兵器たちも、自分たちが造られた本当の理由を知らないだろう

今では墜ちてしまった


人間兵器となって復讐するもの、悪に走るもの、落ちぶれるもの・・・

博士となって悪用するもの、残酷に生きるもの、墜ちたもの・・・


この世界はおかしくなってきている

いつか真実を知らされたとき、彼らの顔はどんな表情を作るのだろうか


それが楽しみでならない



私は口角を上げた


愚かな人間たちよ

あの人を追いやったことを、人間兵器たちを軽々しく扱おうとしたことを後悔するがいい



「あぁ・・始まってしまう」


私は見下ろした

大きな施設

その中で国の偉い人物たちは会議をしているのだろう

自分たちの国の事しか、自分たちの身の安全しか、地位しか考えない薄汚れた者たちめ・・・

せいぜい潰しあうがいい



それがあの人の望まぬものだとしても、私はそう望まずにはいられない