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Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.108 )
日時: 2012/10/18 18:41
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: AKehFwYl)

第四十三話 生きている



雨が降っている
先ほどまで顔を覗かせていた太陽も、分厚い雲に覆われて見えない

滴が髪の先を伝っている
肌にべっとりとくっついている髪が、服が鬱陶しい

綺麗な水色の髪がどこか暗く見える
淡い色の藍(あお)の瞳からこぼれるものは涙ではなく、雨


「・・・」















『・・』
『答えてください・・先輩』


久しぶりに使った言葉
シェーミは少し驚いたような顔をしたのも束の間、すぐにもとの表情に戻った


『なぜそのようなことを尋ねる』
『質問しているのは私です』


少し強めに002は言った

自分が知りたいことは唯一つ

あの人が・・・・・・



シェーミはため息をついた


『・・・それは、真だ・・・と言ったら?』
『・・・探しに行きます』
『ほぅ・・』
『・・・』


シェーミの深い緑色の瞳と、002の淡い藍色の瞳が交わった


『・・あの方はそれを望んでいない』


小さく、とても小さくつぶやいた
その言葉で002の瞳は輝いた


『ならば・・』
『・・あの方を探すのは止めろ。あの方はそれをお望みだ』
『・・・』


それだけは譲れない、という強い意志がシェーミの瞳からは感じられた
002は窓へと向かう
シェーミは静かにそれを見ている

窓に足をかけるとこちらを向いた


『あの人がそれを望むのならば私はそれに従いましょう。しかし、私は私のやれるべきことをします』
『・・・あぁ』


一礼して002は窓から飛び降りた


シェーミはため息をついて扉へと目を向けていた











「探せない」


002はつぶやいた


「けれど・・・」


震える声に、自分でも驚いた


「けれど・・あの人は」


温かいものが、頬を伝う
違う
雨の滴ではない


「生きている」


それだけで、嬉しくなれた


002は頬に伝うものに気づかずに、森を突き進んでいった