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第二話　イタイ



「痛い、痛い・・・イタイ」


一人の青年がうめき声を上げている。
いや、正確には一体の人間兵器が。


「痛い？何故“痛覚”などがお前には存在する？」


右肘から先を刀へと変貌させた少年が無表情に問いかける。
足元に転がっている人間兵器は少年を見上げる。


「いたい、イタイ、イタイ、イタイ・・・」
「『痛い』か・・」


少年はポツリとつぶやいた。
そして人間兵器の頭を変貌させた腕で貫く。
見開いた目がひどく不愉快で、少年は引き抜いた腕を元に戻してその人間兵器の服で綺麗にふき取る。
赤い目と金色の目が何も無い感情で人間兵器を見つめた。


「『痛み』なんて・・・あるはずは無いというのに」


少年は空を見上げる。
灰色の空。
辺りを見渡す。
何も無い地。
足元へ目を落とす。
倒れた人間兵器。

少年はため息をついた。


「・・・感情なんて」







「邪魔なだけだ」


少年はそう言い放ってその場から離れる。











その様子を遠くから見ていたものがいた。
影は楽しそうに笑った。


「痛み、痛み、痛みねぇ」


クックと笑う。


「進化してんじゃねぇか、人間兵器も」