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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.125 )
- 日時: 2012/11/28 18:51
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: TQfzOaw7)
第六話 悲鳴
幼子は楽しそうにタッチパネルを操作する。
ガラス越しに見える苦痛の表情を浮かべ、口を、目を力いっぱいに開く人間たち。
防音設備はつけていないので、悲鳴が嫌でも聞こえる。
だが幼子はそれが好きだった。
自分よりも大きな大人があらん限りの悲鳴をあげる。
幼子はそんな声を生まれたときから聞いていた。
後ろに立っている青年は身じろぎ一つもしない。
悲鳴が聞こえているにも関わらず、表情を変えない。
苦痛の表情を浮かべる人々を見ても、瞳は揺らがない。
幼子ははぁ、と息を吐いた。
そしてくるりと青年の方を向く。
「ね、帝爛はどんな人間兵器がいいのぉ?」
「・・・プリンセスが納得するものでしたらなんでも」
「じゃあねじゃあね!ここで最後まで生き残った人を人間兵器にしてもいい!?」
それは誕生日プレゼントを今あけていいか、と嬉しそうに訪ねる子供と同じだった。
帝爛は微笑む。
「もちろん、プリンセスの御心のままにどうぞ」
幼子はタッチパネルへと向き直り、また操作をする。
悲鳴があがる。
右、左、下、前・・・。
地獄絵図。
まさにその言葉が相応しい幼子たちのいる操作室からみえる風景。
最後のボタンを押して幼子は帝爛の腕を掴んだ。
「自動にしたから最後の生命反応が取れたら別室に運んで手当てしてくれるよぉ。それまで一緒に散歩しよっ」
「プリンセスさえよろしければ」
帝爛は幼子の手を取って、レディをエスコートするように手を引いた。
扉が閉まる。
最後まで悲鳴は途切れることは無かった。
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