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Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.129 )
日時: 2012/12/19 22:39
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: TQfzOaw7)

第七話 あぁいう女が・・・



懐かしい後輩との再会。
シェーミは今、研究所に修理をしていた。
大抵は<能力>でどうにかなったが、やはり初期の人間兵器。
最高の博士とその研究チームが作り上げた最高傑作の四体。
その中でこの研究所を破壊した二体。
しかも一体は攻撃に優れている。

シェーミはため息をついた。


「おい、ため息をしていないでお前も働け」


声を掛けられて面倒くさそうに眉をひそめる。


「・・・私は先ほどまで修復をしていたんだ。もうクタクタだ」
「年かよ・・」


ボソリとつぶやかれた言葉だが、十分に聞こえている。
赤と紫色のピアスが光る。


「遥、蹴り飛ばすぞ」


低い声で唸るが、遥は肩をすくめただけだった。
遥の後ろからダンボールをかかえる少女の姿が見えた。
か細い少女とは思えないほど、大量のダンボールをかかえている。
しかし、それも当然だろう。
彼女は人間兵器なのだから。

白い髪が光を浴びてキラキラと銀色に輝いて見える。


「おい、これは何処に運べばいいのだ?」


可憐な声が面の下から発せられた。
シェーミはそこに・・と指示を出す。


「はぁー・・・。昔のよしみだから手伝ってやってんだけど・・・さすがにこれはひどくねぇか?」


これみよがしにため息を深々とつく。
しかし、シェーミは鼻をフンと鳴らした。


「どうせ囲碁とか将棋とか縁側でやっていたのだろう。報告会に出ずに、大方その人間兵器とイチャイチャしたいのだろうが」
「・・・なんで知ってんだよ」


低い声でつぶやく遥。


「何だ・・ひどい怪我ではないか・・・もうダメなんじゃないか?」


近くから楽しそうな声がする。
人の不幸をみて嬉しそうにするのは、今のところ二人しか見当たらない。
そして良く知っている可憐な猫撫で声・・・。
白狐だ。


「フフッ・・・。私ならその怪我を治せるが・・・懇願するか??ほら・・地面にはいつくばって・・・」


趣味の世界へと走っている白狐。
遥は頭をかかえた。


「おい、止めろ。あれはうちの研究員だ。私を慕っているものをみすみす見殺しにはできまい」
「・・・分かってたならさっさと止めにいけばよかったじゃないか」


憎々しげにみるが、シェーミはケロッとした顔で言った。


「お前お気に入りの人間兵器の性格を見たくてな・・。しかし、お前はあぁいう女が好みだったのか・・」
「あぁ、もう・・。白狐、それくらいにしてやれ」


遥にストップを掛けられて白狐はこちらを向く。
面をかけていても分かる。
不満たらたらだ。


「何故止めるのだ遥」
「うちの研究員に悪さをしないで頂きたいものだな」


シェーミが腕を組みながら言う。
白狐が遥の腕に自分の腕を絡ませながら可憐な声を出す。


「私は性格や趣味が少しばかり悪いだけだのになぁ。別に、悪いことなぞしてはいない!」


開き直るというのか、見方を変えるというのか・・・。
シェーミは頭が痛くなった。


「おい・・・遥」
「何だ?」


白狐を振り払うわけでもそのままにしている遥にシェーミはため息をついた。


「こんな女辞めておいた方が良くないか?」
「何だと!貴様、私を愚弄する気か!」
「私が言うのもあれだが・・こいつは少々危ないぞ。私が紹介してやるから」
「遥には私がいるではないか!」


食って掛かる白狐。
腕に力がこもっているため、遥の左腕がミシミシと不気味な音を立てている。


「お前じゃダメだ」
「何故他人の貴様に言われなければいけない!?」
「お前も他人だろうが!」
「私は遥を信頼していおるわ。そこいらの小娘と同じに見るでない!小娘!」
「何だと!?私は遥がこーんなに小さいころから知っているのだ!」


そういって自分の腰くらいまでを示す。


「ソレが何だ!幼少のときから一緒にいただけではないか」
「私はお前より年上だ!敬え!」
「人間兵器は兵器になったときの年齢を維持するのだ。この姿は数年前のものだ!」


徐々に話の路線がズレていく。


「(つーか、研究所片付けなくていいのか?)」


そんな疑問を浮かべながら、左腕の痛みに必死に耐える遥であった。