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Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.131 )
日時: 2013/01/03 20:57
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: TQfzOaw7)

第九話 オネーサン


「っ!ごめんなさい!」
「!!?」


バッと飛び出してきたのは自分と似たような年齢の少年。
謝りながら飛び出してきたので、凪は驚いた。
それと共に氷を止める。

改めて彼を見つめる。
銀色の髪。
赤い瞳。


「・・何者」


低い声で尋ねる。
まだ警戒は解いていない。

凪の声に少年は慌てたように両手を振った。


「ぼ、僕はニコラス・フラメル。ちょっと道に迷っちゃって・・・」
「道に迷った?」


そんな言い訳が通用するとでも?

そう冷めた瞳で問いかけると、ニコラスはあからさまに怯えを見せた。


「(本当か?)」


凪は疑いを持つ。


「あ・・あの・・。この森にいちゃダメでしたか・・・?」


恐る恐る問いかけてくるニコラス。
凪はうなづいた。


「じゃあ、僕出て行きますよ。えっと、どっちに行けば出られますか?」
「・・・あっちだ」


右側を指差す。
ニコラスはそちらを向いて、ホッと安心の色を見せた。


「じゃ、じゃあ・・・。騒がせてすみません」


ニコラスはそういって去ろうとする。


しかし。




「ダメですよ、凪」


枯葉がが落ちる。
ハッと凪は顔を上げた。


「妖しいものは簡単に逃してはいけません」




キィー・・ン


金属同士が奏でる音。


「ほらね。危険人物でしょう」


ニコリと笑う青年。
その笑みは、不気味なものだった。
青年の手には刀が握られている。

アレは確か・・日本刀。

銀色の光る刃がニコラスの首筋に当てられている。
しかし、それは左手に持たれた刀。
右手の刀ははじかれた。

何に?

ニコラスがはじいたのだ。


「急に喧嘩吹っかけんのか?その笑みは仮面なのかよ」


先ほどとはまったく別の口調で喋るニコラス。
凪は呆然とその様子を見ていた。

先ほどまではなかったはずの武器。
拳銃が二丁。
ニコラスの右と左の手に握られていた。
右手の銃は青年のこめかみに。
左手の銃は青年の刀をはじき、それを押さえ込んでいる。

つまり。

彼は。

危険分子だったというのか。


彩女にとって。


凪の頭をグルグルと回る。
あのまま逃がしていたら、もし彩女が散歩にでも出かけていたら、二人が出会ってしまっていたら、彼は彼女に牙を剥いていたかもしれない。
彼女は死んでいたかもしれない。


「何を一人で思考してるんですか。冷静さが欠けてきていますよ」


ニコリと青年は言い放った。
その言葉には思いやりの色はまったくない。


「・・・分かっている」


凪の瞳に冷たさが戻った。


「先ほどまで持っていなかったその拳銃。どこにしまっていた?」


ニコラスに質問をかける。
凪に対してニコラスはニッと笑う。


「オネーサンはいい人だなぁ。それに比べてお前は急に刀で切りかかりやがってさぁ」


凪のことをオネーサンと呼び、青年のことをお前と呼ぶ。
青年は微笑みながら刀を強く首筋に押し当てる。
それでもニコラスは平然としている。
引き金にかけられた指が少し引かれた。


「質問には答えてくださいね」
「そーだなぁ・・・。オネーサンは俺を信じてくれたし答えてやるよ」


凪に向かってニコリと微笑む。


「この拳銃はどこにもしまってないぜ。俺がたった今作り出したんだ」
「・・つまり、お前は人間兵器か?」
「その通り。・・不服だがな」


その瞬間に顔をゆがめる。
しかし、コロッと表情を変えて唇をなめる。


「なぁ、人間兵器って頭潰したら死ぬのか?」


引き金が更に引かれる。


「モデルによりますね」


ニコニコと答えながら青年の刀が首筋に食い込む。


「俺の首落ちる前にお前の頭が潰れるんじゃねぇか?」
「どうでしょう。あなたとわたしのモデル、どちらが対応しているかによりますね」
「自信あるんだなぁ・・。お前も人間兵器だろ?」
「そうですよ。博士から造られましたから」


博士という単語を聞いてニコラスはまた顔をゆがめた。


「俺はな、博士が大嫌いなんだよ」
「それはそれは。知りませんでした」
「・・・とりあえず・・」


グッと引き金が・・・。



「死ね」


引かれた。




パアァンッ