ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.143 )
- 日時: 2013/03/05 18:58
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: TQfzOaw7)
第十九話 防御
「何の音や?」
幽が眉をひそめる。
ブロックはすぐに幽の前に移動する。
ニコラスはその場から動かないが、扉の方を見つめている。
「動じるな」
彩女の冷ややかな声が響いた。
全員の視線が集まる。
「凪だ」
そうつぶやくと同時に扉が音を立てて開いた。
そこには水浸しの凪がいる。
先ほど破壊された部分は綺麗に治っている。
「あれ?この子さっき倒れていた子やん」
指差しながら笑いかける幽。
しかし、その姿を認めた凪の瞳は冷たかった。
バンッと音がした。
「・・・何するの・・・幽博士に・・・」
忌々しそうにつぶやく。
ブロックは可愛らしい顔をゆがめながら目の前にいる凪に言う。
「凪!そいつは敵ではない!!」
予想外の行動に驚いたのだろう。
彩女が珍しく焦っている。
冷静な彼女の焦る姿を見るのは今日で何回目だろうか、と心の中で苦笑して幽は目の前の状況を見つめた。
扉から出てきた凪はこちらの姿を認めた途端飛び掛ってきた。
誰も予想していなかった。
凪の手が幽の首元を捕らえた、そう思った時、凪の手はブロックによって阻まれていた。
先ほど幽の前に移動した時からずっとその場にいたのだ。
ブロックは守り専門。
嫌でも体は防御のために構えてしまう。
それが“ブロック”という人間兵器だ。
しかし、それが幸いした。
おかげで幽は生きているのだ。
「凪ちゃん・・だっけ?僕は魔神さんの敵やないで。昔なじみの博士や」
「元、だけどな」
幽の言葉に付け足す彩女。
「凪。そいつの言っていることは本当だ。その腕を下ろせ・・・」
そっと、優しく語る。
それでも凪は手を下ろさない。
「・・・・血・・・」
「?」
「温度・・・血・・・」
ブツブツと呪いのようにつぶやく。
虚ろな瞳はどこまでも冷たく、無機質だ。
「幽博士、つみきは防御専門。攻撃は出来ません」
そんな凪を止めているブロック。
絶対防御の能力。
それが破られるはずはない。
しかし、このままでは・・・。
「しなくていいよ」
ニコッと笑う幽。
ブロックはまた眉をひそめた。
「・・・沸騰」
「!!幽、今すぐ離れろっ」
つぶやき声と焦りの叫び声。
彩女が必死に手を伸ばすが、凪にも幽にも届かない。
幽は首をかしげた。
そして・・・。
バチンッ
何かが破裂した。