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第四十話　探り



ふっ、と息を吐く音がした。

「あぁ・・・お戻りになられたのですね」

艶のある声が耳に響く。
男がそちらを見れば妖艶に微笑む女の姿。
長い髪は毛先まで丁寧に手入れをしているらしく、美しい。
身長は少し高めだが男よりは低い。

「貴方様がここへ戻ってくるのはなんとも久しいこと・・・」
「邪魔だったか？」

尋ねれば、女は扇を広げた。
そのまま口元を隠すように扇を持っていく。

「いいえ。あたしに新しい“全て”を与えてくれた貴方様はいわば、あたしの神なのです。あたしは嬉しくて・・・」

男を見つめる女の瞳はたくさんの想いが混ざり合っている。
一言では言い表せない。
それほどまでに男の存在が大きいのだろう。

「そうか」

しかし、それに対して男の返事は素っ気無いものだった。

「俺がこの場を訪れた理由、分かるだろう」

冷静な声が木霊する。
女はにこりと微笑む。

「それでこそ貴方様。・・・あたしに何用でしょうか？貴方様の御命令ならば“何でも”こなしてご覧にいれましょう」
「『何でも』か・・・」

男が繰り返す。
えぇ、と女が答える。

「・・・探ってきて欲しい」

















「蓮印と魔神たちが“何”をしようとしているのか」






女は不敵に笑う。

「お受けいたしました」