ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.200 )
日時: 2013/05/31 18:09
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: lgK0/KeO)

第四十一話 兄弟とか?



「おっしゃあ、終わった!」

ニィーアが伸びをする。

「お疲れ様です博士」

隣で奇跡がにこやかに告げる。
舞異と泡沫からの視線にはもう慣れたようだ。

「お疲れ様ぁマスター」
「父上・・コーヒーです・・・」

舞異はニコニコと笑顔でニィーアの上へと座る。
ニィーアは舞異が落ちないようにと抱えている。
泡沫の差し出すコーヒーを飲む。

「やっぱり泡沫のコーヒー美味しいなぁ・・・。ありがとな」

笑顔を向ければ、泡沫はほんの少しだけ顔を緩めた。
泡沫も徐々にニィーアに打ち解けてきているのだろう。

「あ、マスター、僕にも頂戴っ!」
「え、無理に決まってるだろ」
「えーっ。ずるい!」

兄弟喧嘩のような言い争いが起こる。
舞異の頬をひねるニィーア。
ニィーアの髪を掴む舞異。

奇跡は呆気にとられている。

「・・・博士と人間兵器だよな?」
「日常茶飯事・・・」

泡沫から返って来た答えにも驚いた。

博士と人間兵器。


そして満面の笑みを浮かべる。


奇跡が望む未来の図が、ここにある。
こんな日常がずっと続けばいい。

架け橋になると決めたから。


「やっぱり、ニィーア博士はすごいですね!」

声をかけられたニィーアは首をかしげながら微笑んだ。

「当たり前じゃないか!ニィ博士ほどすごい博士はいないよ!」

ニィーアの髪から手を放して舞異がこちらを向いた。
彼がニィーアのことを話しているときは、とても楽しそうだ。
誇らしげに、嬉しそうに話す。

奇跡は心が温かくなるのを感じた。

「そっか」

笑顔で返す。
舞異舞異も笑顔を向けた。

「奇跡は、兄弟とかいるのか?」

不意に泡沫が尋ねた。
奇跡は首を横に振る。

「俺に兄弟はいないよ」
「じゃあ・・血縁の中に“梅雨”っている?」

少し食い下がるように尋ねる。
ニィーアと舞異舞異が顔を見合わせる。

「“梅雨”?いないなぁ・・。そういえば最初に俺の事そんな風に呼んだよね。その人と俺って似てるの?」

尋ねれば、うなづきが返って来た。

「そっか。探してるの?」
「違う・・。ただ、似てたから・・驚いた」

そういって俯く泡沫。



妙な雰囲気になってしまった。

「・・・あ、あのさ、博士は兄弟とかいるんですか?」

奇跡が話題をふる。

「俺?いるわけねーじゃん」

呆れ顔で返す。

「そうですか・・・。えっと、じゃあ、君は?」
「あ、僕の事は『舞異』って呼んでいいからね。うーんとね、血は半分だけつながってないけどいるよ?」
「え、いるの?」
「うん」

懐かしそうに目を細める。

「舞異いたのか・・・。初耳だけど」
「俺も・・・」
「えぇ、知らなかったんですか!?」

ニィーアと泡沫が同時にうなづく。

「だって聞かれなかったし、最近は会ってないし・・。ってか、あっちが一方的に僕を捨てたんだけどね」

ふてくされたように言う。

「捨てた・・?」

ピクリと泡沫が反応した。

「そう。あの人は僕を捨てたんだよ。僕の母親とあの人の母親は違うんだ。父親は一緒だけど。両親が死んじゃったから、あの人は僕たちの家に来て、暫らく一緒に住んでたんだけどさ・・」

そこで言葉を止める。

「あ、はいはい。ここで終わり!過去の事は詮索しちゃだめだよ!」

先を知りたいが、強制することは出来ないだろう。
ニィーアも奇跡も泡沫も、不満そうな顔をしたが大人しく従った。

「どうせ、あの人は僕の事なんて覚えてないんだよ」

ポツリと小さな声でつぶやかれた。

「・・・」

その言葉に気付いたのは奇跡だけで・・・。