ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.213 )
- 日時: 2013/07/15 13:20
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: T3UB3n3H)
第四十七話 可愛いなぁ
「今、なんと言った・・・遥」
彩女が聞き返す。
遥は新しく淹れたコーヒーを飲みながら答えた。
「あの人はこの国にいる、と言ったんだ」
目を見張る幽。
「それ、本当のことなん?」
「性質の悪い冗談なら今すぐやめろ。そして土下座しろ」
睨みつける彩女に、遥は薄ら笑いを浮かべる。
「こんな冗談は言わねぇよ」
「じゃあ・・・君の言ってることは、全部本当のことなんやな?」
遥はゆっくりとうなづいた。
「・・っ!ブロック、聞こえたよな?あの人がこの国におるんやって!」
途端に幽が椅子から立ち上がってブロックを抱き上げる。
ブロックは少々驚いたような顔をしたが、すぐに元の表情に戻ってうなづいた。
「良かったね、博士」
「うん、うん・・・良かった・・」
とても嬉しそうに目を細める。
ギュッとブロックのを抱きしめる。
「・・?」
首を傾げるブロック。
「どうかしたのか」
「・・・博士、泣いてるの・・?」
「うん・・・戻ってきてくれたことが嬉しくて・・・」
フンッと彩女が腕を組む。
「まだ再会もしていないのによく泣けるな。あの人の姿を目の前にしてから泣け」
「魔神さん〜〜〜っ」
ブロックをおろして彩女に向かって両腕を広げる。
「んな!?く、来るな!寄るな!ボロボロと泣くな!女々しいぞ!」
「ハハハ。彩女、抱きしめてやれよ」
「拒否する!私はこいつが嫌いだと言っているだろう!大体、正式に研究グループに入っていなかったくせに、いつもいつもあの人にベタベタくっついて・・・。極秘情報も、研究グループ内だけの極秘情報もこいつは全て知っていて・・っ!」
一体何なんだ!と怒鳴る彩女。
「私情入ってるだろ・・」
「魔神さん・・・」
ズピーッと鼻をすする。
「・・・可愛いなぁ」
ふにゃ、と無邪気で穢れの知らない笑顔がそこにあった。
「な、な、な・・・!」
「あ、彩女。照れてるだろ」
遥がニヤニヤしながら言い放つ。
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
「いい加減にしろぉぉぉぉぉぉっ!」
彩女の絶叫が響いた。
「・・・え?博士・・・・!?」
「ぅ・・・・・ん・・・?」
隣室の二人にもバッチリと聞こえていた。