ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.217 )
- 日時: 2013/07/20 22:34
- 名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: T3UB3n3H)
第五十話 探しにおいで
目が覚めたら、誰もいなかった。
周りを見渡しても、あるのは死体と焼け落ちた家。
あの時、銃口は確かに向けられていたのに。
『・・・やーめたっ』
それは気まぐれな言葉。
少女のほうを驚いたように見つめる二つの同じ顔。
『何故ですか?』
『何かありましたか?』
『殺しちゃダメだよ。このまま生かしておく』
納得いかない様な顔をしたいたけれど、分かりました。の一言で銃口は下を向いた。
『ねぇ、君の名前は?』
先ほどと同じ笑顔で問いかける。
殺されかけた相手にそんなことを言うわけ無いだろう、という思いをこめて睨みつける。
『ウチはね、ある人の命令でここを壊しに来たんだ』
ニコニコと笑顔で語る。
『ある・・人・・』
『うん。ねぇ、君はさ、ウチのことを憎む?』
『あ・・当たり前・・っっ』
『じゃあ、追っておいで。ウチの息の根を止めに、ウチを探し出して、憎しみを全部ぶつけて、復讐や敵討ちを果たして・・・』
何を言っているのか理解できなかった。
けれど、少女がとても楽しそうだということは分かった。
『人間が復讐に燃えて、復讐相手を探し出して、見つけて、どんな行動をするのか・・。観察させてもらうよ』
年相応の笑顔から、一気に大人びた表情をとる。
妖艶で、妖美で、禍々しいオーラを放つ女。
『探しにおいで。ウチを』
ギリッと唇を噛む。
血がにじむけれど、今更そんな事は気にしない。
『絶対に、お前を探し出してやる!お前も、お前に命令を下した奴も!全員、僕が・・』
『殺してやるッッッッッ!』
殺意をこめて叫ぶ。
少女は嬉しそうに笑った。
『ウチの名前はね』
最後に聞こえた言葉。
『・・・ヒストラ・レイス・・ッ』
拳を握る。
まだ残っている少女の笑い声。
『必ず、探し出して・・殺してやるッ』
決意を胸に、焼け落ちた村から一人の少年が姿を消した。
後日、一つの村が不運な事故により壊滅したと、国からの発表があった。