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Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.219 )
日時: 2013/07/25 21:30
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: T3UB3n3H)

第五十二話 探していました


人間兵器が見つかれば、必然的にそれを製造した博士とも出会える。
そう思っていた。

『あの、凪さん・・は』
『凪・・・さん付けなんて気持ち悪い』

淡々として訂正される。

『あ、ごめんなさい・・。・・あの、凪は人間兵器なんですよね?じゃあ、貴方は博士ですか?』

微笑が一つ。

『そのとおりだけど?』
『あの、魔女って呼ばれてるのは、もしかして・・・』
『あぁ、噂になってるネー。まぁ実際子供連れて帰ってるから間違ってはいないんだけどね』

ケラケラと笑う。

『魔女・・、博士・・・。僕、貴方を探していました!』

ベッドの上で正座をして、真っ直ぐに博士を見つめる。
博士は首をかしげて笑う。

『僕を・・・』























『人間兵器にして下さいッ!』

あいつに復讐できる力が欲しい。
みんなの仇が討ちたい。

頭を下げてお願いする。

『・・魔神』
『へぇ・・』

クククッと笑う声がして、顔を上げる。
博士はとても愉快そうに笑っている。

『その理由は?私がさらってくる子供はみんな、大きな悩みと絶望、悲しみや不安を持っている儚く危うい存在ばかり・・。私が人間兵器にすることで全ての負の感情から解き放ってあげるの』

そう語る博士の声色はとても優しい。
不気味な紫色の瞳が、温かな色を帯びている。

そんな理由があったのか、と思った。

『魔神は・・優しいね』
『凪、無駄なこと喋ってないで実験室の管理と観察、行ってきて』

一変して鋭い瞳で睨まれ、凪は静かにうなづいて扉の向こうへと消えた。

『・・それで、理由は?』
『僕は、殺したい奴がいます』


それから全てを話した。
焼け落ちた村。
散らばっている死体。
嗤う少女。

名前は伏せた。
僕だけが知っている、殺すべき相手。
その憎しみを忘れないために。

『・・・』

博士は静かに聞いていた。

話し終わった後、博士はうなづいた。

『分かった。人間兵器にしてあげる』

目を見開く。
本当に了承してもらえるとは思わなかった。

『ほ、本当ですか?』
『もちろん。ただし、今すぐには無理だよ』

博士曰く、製造途中の人間兵器が大量にいるらしい。
上からの許可がないので、最後まで仕上げることが未だに出来ないでいる。
それらが終わり、許可をもらえたらすぐに取り掛かるとのこと。

『それでもいい?』
『はい・・・。はい!よろしくお願いします!』

ニッコリと笑いが返って来た。

『私は魔神彩女。名前は?』
『僕は・・・朽葉』






『露草朽葉です』