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Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.45 )
日時: 2012/05/18 20:40
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: AKehFwYl)

第十八話 飴



「よぉーし、OK!」


ピョコンと茂みから顔を出す
朱亜は新しい飴をポケットから取り出す


「手李拏は任務に行ったかな?」


服についた枯葉を掃う


「行きました」
「あ、本当?あいつずっと駄々こねてたからさー」
「ボクにはどちらも同じに見えますが」
「そ?」


振り返る朱亜
そして、沈黙が訪れ・・・

















「・・・アハ?」
「また抜け出したんですね、夢星博士」


朱亜は汗が流れてくるのを感じた
首についているリングに刻まれているのは“015”
その数字は人間兵器を示す


「えっとぉー・・・」
「ボクは博士に伝達を知らせにきました」
「伝達ぅ〜?」


眉をひそめる朱亜


「はい」
「うーん・・・誰から?」
「扇博士からです」
「え、あ、綾音ちゃん!?」


その瞬間、口の中の飴はポトリと落ちた
朱亜はそれを見て、あ。と小さく声を上げた


「・・・それで?」
「そのままお伝えします。『欠席連絡を入れた場合は、報告書を送ることが義務付けられています。直ちに送るか、渡しなさい』だそうです」


博士たちの報告会には基本全員出席だ
しかし、当然出られぬものも出てくる
その場合は欠席連絡をして、まとめた報告書を提出するのが義務だ
それをしなくても罰などないのだが、一応博士たるもの義務は果たさなくてはならない


「あー・・忘れてた☆」


てへっ、と舌を出して誤魔化す朱亜
そんなものが人間兵器№015に通用するはずもなく・・・


「速やかに報告書をお渡しください」
「・・・怒ってる?」
「ボクは兵器ですから感情なんてありませんよ。怒っていらっしゃるのは扇博士です」
「むぅ…私はまだ子供だぞー!!16なんだぞー!!だから怒るなぁ!! と、綾音ちゃんに伝えといてね!」


またポケットから飴を取り出す
一体いくつ持っているのだろうか?


「分かりました」
「ん!報告書中にあるから、待っててね〜」
「はい」


走り出そうとする朱亜だったが、クルリと人間兵器のほうを向く


「?いかがなさいましたか」


声をかける
と・・・


「ハイ」


手の上にかわいい包み紙の飴がチョコンと乗っている
それを№015は、じっと見ている


「あげる。いちごミルクキャンディ。私が一番好きなもの♪」


そういって№015の手に無理やり押し付けて走り去っていく




残された№015は自分の手に入っている飴を見つめていた


「・・・飴・・・」


どこか、心に残るものだった