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Re: ココロ 【オリキャラ募集中】 ( No.99 )
日時: 2012/10/10 22:10
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: AKehFwYl)

第三十八話 ため息










笛の音色が風に乗って運ばれていく
優しく、儚く、弱く、淡い音色









「また吹いてんのかよ?」


面倒くさそうに髪をかきあげる白衣の男
そちらへ気づき、顔を向けるとにこっと笑顔を作った
無邪気な幼い笑顔だ


「お帰りなさい、マスター!」
「たでーまぁ」


ボフンッとソファに座り込む博士
その膝の上にちょこんと座り込む


「今日の報告会はどーだったのー?」
「あー?」


あぁ、と博士はつぶやいた


「なんかよ、魔神が扇を蹴飛ばした」
「扇さんを?」
「あぁ。んで、発見とか多かったなー」


他人事のように答える博士


「ふーん」


足をブラブラと揺らす


「・・・何不機嫌してんだよ」
「えー?べっつに不機嫌とかじゃないしー」
「嘘つくな」


むくれてる、と頬をむにーっと引っ張る
その手を退けるように動くと簡単に外れる
ムスッとした顔が博士の目に入った


「まー、大体分かるけどな」


と、博士は天井を仰ぎながら言った


「・・・」


無言になる



「・・・」
「・・・だってさぁ」
「うん?」


この博士はいつもそうだ
面倒くさがりだけど、何かと世話を焼いてくれて
戦争好きだけど、優しくて

そんなマスターがこの人間兵器は大好きだった


「泡沫がいないんだもん」



はぁ、とため息をつく博士
この人間兵器からこの言葉を聴くのは何度目だろうか


「あのなぁ、仕方ないだろう?任務なんだから」
「知ってるけど、僕も行きたかったぁ!」


泡沫と一緒に!と騒ぎ始める人間兵器
博士は頭を抑える


「いい加減にしろ、舞異舞異」


舞異舞異と呼ばれた人間兵器は空色の瞳を博士へと向ける


「ってゆーかニィ博士が命令したから悪いんだぁ!」


ニィと呼ばれた博士はまたため息をついた