ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 悲哀と世界。 ( No.11 )
日時: 2011/12/03 20:41
名前: 結城柵 (ID: khvYzXY.)
参照: トリめんどいの。

【父親 3】

「殺さ…ないのか?」
 ガラスを投げ捨てた僕を見てそいつが呟く。
僕はそれに対して、何を言ってるんだといわんばかりに笑みを返した。
「当たり前じゃないですか。僕は誰かさんと違って忙しいんです。世界を守らなきゃいけないんだから、犯罪者ごときになってる暇はないんです。それに…なんだかんだ言っても僕は、貴方に感謝していますから」
 慌ててやってきた店員さんたちが砕けたガラスを集め始めた。とても申し訳ない。
僕の手に気が付いたらしい一人が手当を申し出してくれたけど、やんわりとそれを断った。
「感謝…?一体、何を…」
「あんなに美しくて可憐で脆くて儚げで、大切にしたくなるような世界を、僕に教えてくれたこと」
 それだけ言うと後は何も言わず、言わせず、そいつに背を向け歩きだす。
数歩進んだところで、忘れ物を思い出して振り返る。
「言い忘れ。今度、“僕の”世界に会いに来たら、殺すから」
 笑顔で言い残してその場を去る。

 明日は世界の誕生日だ。
あの日から、十年。あぁ、待ち遠しい。
あんな奴、世界にはいらない存在なんだ。世界を汚すゴミは、撤去しなきゃ、だもんね。

さ、パーティーの準備だ。