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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 悲哀と世界。 ( No.12 )
- 日時: 2011/12/04 05:56
- 名前: 結城柵 (ID: khvYzXY.)
- 参照: トリめんどいの。
【夢】
夢を、見た。
世界が僕の下で、僕を呼んでないてる夢。
世界の瞳からは雫がこぼれて、僕はそれをなめとる。
世界の腕からは血が流れて、僕はそれをなめとる。
世界の首には紫色の僕の指の痣がついていて、僕はそれを見て口元を歪める。
それでも世界は、僕を求めてなく。
りんどう、と苦しげに掠れた声が、悲しげに苦しげに、なのに必死で僕を呼ぶたび、全身が熱くなる。
異常だ、なんてとうの昔に気づいてる。
世界のため、と称した行動全てが自己満足なことも知っている。
世界の細い首に手をかけるたびに、噛みつくたびに、世界のなきごえを聞くたびに、血を見るたびに、世界がおびえるたびに、悲しむたびに、そしてなによりも、僕を求めてくるたびに、僕の全身は熱を持つ。鼓動が聞こえてくるくらい早くなって、息をするのもつらいくらいに。
おかしいんだ。世界を手にかけようとして悦に浸るなんて。僕は世界に嘘を吐いてるんだ。僕は彼女を、正常になんて愛せないんだ。
それでも、僕に笑いかけてくれる世界がいるから、僕は今日も夢を見る。
僕は世界を守っている。僕は世界を愛している。世界は僕だけを見ている。僕だけの、世界。
そんな、甘い甘い夢を
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