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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界と一緒。 ( No.14 )
- 日時: 2011/12/06 18:00
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: トリめんどいの。
【夏と僕とあの人の死体 1】
僕は一人、セミが大量に鳴く山奥にいた。山の中は涼しくて嬉しい。
世界は学校に行っている。というか僕も登校はした。
いきなりいなくなって心配してるだろうな、なんて少し自惚れてみる。
「けほっ…」
刺激臭がして、思わずむせる。折角のすがすがしい気分が台無しだ。
でも、それでも僕は歩く足を止めない。
「あ、いたいた。こんにちは、久しぶり。世界が心配してたよ。…そろそろ見つけた方がいいかな?」
しばらく歩くと、少し匂いがきつくなった。
そろそろかな、と思ったら木の根本に黒い人影が見えた。
それに声をかける。返事はない。むしろあったら怖い。
「しかし…よく見つかってないよね。ま、私有地の山の奥にくる奴なんて、そうそういないか。感謝しなきゃね」
人影から、蠅が飛び去った。
悲しいかな、返事のないそれに話しかけたって、独り言にしかならない。
「ま、貴方が見つかったら、世界は余計悲しむよね」
深い穴を見つめながら笑いかける。そこは元々目があったけど、今は白い何かが…恐らく蛆がひしめき合っている。
ぽろり、と目から雫のように蛆がこぼれ落ちた。
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