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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 悲哀と世界。 ( No.2 )
- 日時: 2011/12/07 05:36
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【非常食】
朝、学校に行くと昨日の地震の話題でもちきりだった。
別にどうとも思ってないけど、声をかけられて面倒だったから一言二言、言葉をかわして席についた。
「りんどー、おはよ」
隣に座った世界が笑った。
世界は僕の大切な大切な大切な大切な幼なじみだ。可愛くて、どこか抜けていて目が離せない。
「ん、おはよ」
「昨日、おっきい地震あったね。怖かった」
挨拶を返すと、世界の口からも地震の話が出た。正直、お前もその話か、と少し思ったけど、世界は馬鹿で素直で正直だから、思ったことそのまま口に出してるだけって知ってるからなにも言わない。
「そうだね。この前のでかいやつの被害でまだ大変なとこ、まだあるのにね…」
「うん。ああなったら私、逃げ遅れるよ…」
心配そうに呟く世界に、この県は海がないから平気だって言いかけてやめた。山だって崩れたりするんだった。
「大丈夫。僕が助けるよ」
「そっか…!でも、食べ物とかはどうするの?」
世界の心配症。と心の中で呟く。避難所の食事とかがあるし、仮に無くたって。
「大丈夫、世界」
僕は、笑う。
「非常食なら、ここにいるでしょ」
世界も、笑う。
そうだよ、世界には僕がいる。
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