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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界と一緒。 ( No.23 )
- 日時: 2011/12/13 18:03
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【日常/非日常】
朝起きて、新聞とニュースをチェックする。昨日の話題はどこにも出ていない。
賢い判断、とカフェオレを飲みながら笑う。本当のところ、少しだけ心配だったけど。
昨日の、あの時。ナイフを振りかぶった亜蝉の足を、切った。それも結構深く。
亜蝉は、痛みにもがいていたけど、死に至るような傷じゃないのは見て取れた。ショック死とかならわからなくもないけど。
罪悪感がないと言ったら嘘になる。
正当防衛だったとはいっても、少しだけ、傷害事件の加害者になった気分。なる気はないけど。
そんなことを考えながら、食器を片付けて靴をはいていると、世界が眠たげにふらふらしながら起きてきた。
「おはよ、先行くね」
「んー…いってらっしゃーい…」
うにゅうにゅと眠たげに僕に手を振る世界に、柔らかく笑いかける。
朝からの嫌な気分が嘘のように晴れて、僕はいつも通りに家を出る。
洗濯物を干してる隣のおばさん。いつもすれ違う自転車通勤のおじさん。田舎独特のすんだ青空。騒がしいセミの声。
いつも通り、なんの変哲もない朝の風景。
そう、いつもどおり。
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