ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 世界と一緒。 ( No.31 )
日時: 2011/12/17 13:24
名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
参照: 短い

【負け犬の遠吠え】

 赤く染まり始めた空に、僕の声がやたらとよく響いた。
 神代が、ひどくおびえた表情で僕を見た。それですら、今の僕の加虐心をくすぐる。
ひたすら、穏やかに笑む。残念ながら、世界以外に欲情しないんだよね。
「っ…何なのっ、きみっ」
 神代が叫ぶ。
ナイフが地面に落ちた。あーあ、泥まみれになるだろうに。
さっきまで苛立ちは消えて、穏やかな気持ちでしかなかった。
「っ…きみみたいな異常者に、依代さんを」
「幸せになんかできないって?なら、あの花のような笑顔は、誰に向けられているの?負け犬の遠吠えは、見苦しいよ、かみだいり、さん?」
 言い返せず、悔しげに僕を睨む神代に笑いかけ、その場を後にする。



ああ、異常者、か…。
口元に、ゆがんだ笑み。