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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界と一緒。 ( No.42 )
- 日時: 2011/12/29 15:37
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【親=保護者なわけじゃない 2】
僕の言葉に、刻野をはじめ、集まってきた連中が気まずそうに目を伏せた。まぁ、普通の反応。
「やめてよ、僕自身気にしてないんだから」
そんな気まずい雰囲気を壊してしまおうと、柄にもなく明るく笑ってみる。
世界はいつの間にか、上半身を起こして僕を見つめていた。
「そういえば、私、依代さんのご両親、中学の時から見たことない…」
誰かが呟いた。その言葉に、しまった、と思う。
このテの話題は、触れるべきじゃなかった。
「お母さん、行方不明、なの…」
世界が小さく呟いた。
話題をそらそうにも、どうしたらいいか。
小さくため息を吐く。僕の、バカ。
「じゃあ、お父さんは?」
「…?おと、う…さ、ん…?」
青い顔をした世界の体が、ぐらりと傾いた。
「世界ッ!」
それを間一髪で抱きとめれば、世界の小さな体から、震えが伝わる。
きゅ、と閉じられた瞼と、聞こえないほど小さく呟かれた言葉に、僕の中の何かが切れた。
「ちょ、虚木っ!?」
世界を横抱きにして、教室を飛び出す。ひっくり返してしまった机は、刻野が直してくれるだろう。
目指す場所は、保健室。なるべく静かな場所へ。
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