ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 世界と一緒。 ( No.45 )
日時: 2012/01/02 06:21
名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
参照: 今年も鬱々と更新していきますね。

【罪と罰】

 怖い、と。憎い、と。世界は、確かにそう言った。僕に対して、そう言ったんだ。
苦しげに僕を呼ぶ声は、泣き声に変わる。あとで、のど飴あげなきゃ。
泣いてるからか、力の緩んだ腕から抜け出して、こんどは僕が抱きしめる。

 ねぇ、世界。世界は、何を考えていたの?

真っ白な世界が、汚されて堕ちていくのに魅了されて、助けることのできなかった、あの日の僕のことを、思い出してしまったのかな。
それとも、世界を歪んだ愛でしか守れない僕に、気づいてしまったのかな?

 世界の白く、細い首が、視界にちらついた。相変わらず、色も細さも、浮かんだ脈も、綺麗。
いっそ、このまま首を絞めてしまおうか?
それとも、どこかで読んだ小説のヒロインのように、抱きしめたまま、頸動脈を噛みきってしまおうか?
一瞬うかんだ思考を、首を振って追い払う。
…やめた。そういう気分になれない。
世界の泣き声にも、歪んだ表情にも、その首にさえも、ちっとも興奮しない。
それどころか…、ほんとに、何でなんだろ。


僕も、悲しい。