ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 世界と一緒。 ( No.76 )
日時: 2012/01/27 19:08
名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)

【少年二人 2】


 俺は、静かに彼に近づいた。ゆっくり、ゆっくりと距離を詰めていく。
右足が、思い出したかのように痛んだ。いつの日だったか付けられた傷だけど、彼は今刃物を持っていないはずだから。と自分を励ました。
神様、と心の中で呟く。神様、俺は、彼らを救えるんでしょうか?

「なんのつもり?」

 彼の胸ぐらを掴んだ俺の手を、まるで汚物を見るかのように見つめ、彼が呟いた。
なんだっていい。なんだっていいんだ。俺のことは、どうなったっていい。それに、こういう役は、影から見てた可愛い子と結ばれるもんなんだよ。

「ねぇ、場所、変えようか、竜胆くん?」

 ふるえる声を、必死で隠して笑う。
それを見透かしたように、彼もわらった。

どこか遠くで、雷の音が聞こえた。