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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界と一緒。 ( No.87 )
- 日時: 2012/02/22 18:15
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【あの人。 1】
薄暗い道を一人きりで帰る。世界は、星野と先に帰らせた。今の僕と一緒になんて帰らせられないからね。
いろいろ、ぼんやりと考える。刻野にも、時野にも言われた言葉。否定したくても、できない言葉を。
『最近、世界を避けていない?』
深くため息を吐く。否定しようがない。僕は、確かに世界から逃げている。世界が嫌いになったわけじゃない。むしろ、愛しくて仕方がない。愛している。
でも、僕は、今更気づいてしまった。僕は、世界に触れるには汚れすぎている。僕は正常に世界を愛せない。それでもいいなんて、綺麗事でしかない。結局、僕は
守ると誓ったあの日から、世界を、自分の物にしたかっただけなんだ。
「やあ、おかえり、竜胆君」
もう一度、深くため息。家の門をくぐろうとした時だった。
聞きたくもないし、聞くはずのない声が聞こえた。何でだよ、何でだよっ!
「…やあ、こんにちは、亜蝉。こんなとこでなにやってるのかな?」
困惑を表に出さないように、なるべく冷ややかな声で彼に返す。視線も同じく冷ややかなものを。本当、空気読めないな、この人。世界が出てこないことを願いつつ、亜蝉を睨んだ。
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