ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 世界と一緒。 ( No.97 )
日時: 2012/03/26 08:30
名前: 緑川祐 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)

【とある夏の、とある思い出 2】

「竜胆君」
「あぜみさん!」
 優香さんとお話していたら、亜蝉さんに呼ばれた。いつ帰ってきていたんだろう?
 蝉がたくさん鳴いていて、あっついなぁと感じた。夏っぽくて好きだけど、暑苦しいのはイヤだなぁ。
「良いものを見せてあげるよ。ついておいで」
 亜蝉さんが笑った。優香さんは、あんまりいい顔をしていなかった。世界は?と言いたそうな顔。
 どうしようかと悩んでいたら、亜蝉さんに痛いくらいの力で腕を引っ張られた。世界はいいのかな、と思ったけど。その良いもの、が気になってしょうがなかった。
「ほら、ここ」
 亜蝉さんにつれてこられたのは、普段入っちゃいけないと言われてる、亜蝉さんのお仕事道具の入っている小屋。
 なんだか、生臭いような変なにおいがして、鼻がツンとした。
「あぜみ、さん?」
「ほら、竜胆君」
 なんだか少し心配になって、亜蝉さんをみた。亜蝉さんは、僕の声なんか聞こえてないみたいに、楽しそうに僕を小屋の中に押し入れた。
 むわ、とした熱気とむせかえるようなにおい。気持ち悪い。
 だけど、目を開けて中を見て。
「なぁ、に……?これ……」