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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 小人ノ物語【第一章更新!!】 ( No.13 )
- 日時: 2011/12/18 19:23
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
第一章 「小人になる薬」の配達屋さん【第四部】
まだ、暑かった夏の名残りが残った肌に、少し癖のある濃い栗色の髪。男の子らしい、引き締まった身体。冬の夜空の様な漆黒の瞳には、有り余る生命力と若さゆえの輝きが宿っている。——赤根町でそんな男の子を見かけたら、多分、相田良哉だと思ってもいい。それ程に、良哉はある意味目立った存在だった。
そんな良哉は、小学六年生の少女、美月星の幼馴染。幼い頃に父親を亡くした星を、良哉は、とても気にかけていた。だから、今日もこうして——。
「お邪魔しまーす」
星の家にやって来た。二階でその耳をそばだてる、先客があることを知らずに。
「ヤバいよ……どうしよう! 良哉が、来た!」
夕菜が焦った様に囁く。一方、星は「ギャーギャー言わないで」と言いたげに夕菜を睨みつけ、軽く溜息をつく。
夕菜の想い人は、実は相田良哉なのだ。夕菜が異常なくらいに興奮しているのは、そのせいである。
螺旋階段を上ってくる、微かな足音が聞こえてくる。夕菜の心臓が、眠りから覚めた獣の様に暴れだす。そして——
部屋の扉が、静かに開いた。
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