ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: だうんろーど ( No.1 )
日時: 2011/12/01 17:06
名前: 蟹鹿王 (ID: vgnz77PS)



—深夜1:30分
紅軍セキグン基地


[ダウンロード中です…]


「……」
「…はぁ」


[ダウンロード中です…]


「……まだか川口?」
「待て、もうすぐ終わる」


[ダウンロー、完了しました]


「いよし!!急ぐぞ!!」
「わ、わかった」


ヒヒッ!


「!!!」
「誰だ!!」


——


『今朝、紅軍基地の情報管理室で黒い目出し帽をした男2人組が遺体となって発見されました。目立った外傷は無いとのことです。この2人組紅軍所属の情報管理局の職員の木元容疑者と川口容疑者で、昨夜から明朝にかけて、情報管理室の担当となっていたとのことです』



「どうやって殺したんだ?イープル」
「ヒヒッ!軽くこうやって心臓を突いただけさ」


俺の胸に指を当ててるツンツンの紅髪
美男子のくせして変な笑い方する
こいつの名前はイープルといって
外界ラフォラ』から俺が『ダウンロードした』使い魔
普通の人間には見えない、というより契約によって俺以外には姿を見せてはならない


「今ここでルークを殺すと契約で俺も死ぬからな、止めとく」


俺の目の前にいるこのボサボサの蒼髪のガキはG・ルークって言うんだ
俺を外界から呼び出した生意気な奴
『G』をどう読むか教えてくれないからまだ心は開けねぇ
今ここで殺してやってもいいが、契約で俺も道連れになる


「あの2人を誰が殺したなんて誰も分からない。ましてや、外界の奴が殺したなんて誰も分からないだろ」
「そうだな、契約書に『殺しに使ってはならない』なんて書いてないしな」


朝日がまだ昇って間もないころのニュースを横目で見ながら
この仲良しの2人はスーツを着ている


「お、報酬金が来てるぞイープル」


イープルは玄関の封筒を手に取って
下が透けているおしゃれなテーブルの上に置いた


「いくらだ?」
「まて、今開ける。ヒヒッ!!」
「…?」
「よく見ろよルーク、紙が入ってるぞ!」
「お!!」


ルークは封筒の中に指を入れ
指の腹で取り出す
紙幣が5枚出てきた


「ご、5万シノだ…」


*1シノ=10円


「やったなルーク!!ヒヒッ!」
「待て、どう分ける」
「ここは俺が3万シノだろ?実際に任務を遂行したんだから」
「お前、俺は主だぞ?契約では主の意見が優先されるぞ」
「くっ…こういうときだけ主面しやがって」


こいつは都合のいい時だけ主面してくるんだ
ヒヒッ!まったく、外界人ラフォラーズ扱いの荒い奴だ


ここで主が折れてイープルに3万シノでもやってみろ
今後の俺の主としての立場が無くなる


「…」
「…」
「なぁイープル」
「なんだ?」
「次の任務の結果次第で、残りの1万シノの行方を決めるぞ」
「ヒヒッ!のった」
「外界人だからって手加減なしだからな」
「あぁ」


[メールを受信しました]


「!!」
「ヒヒッ!」