ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Every day the Killers ( No.25 )
日時: 2012/01/09 16:47
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)

                   ……

「此処は…一体…………」

目の前には、只草原が広がるばかり。空は暗い。

前方、数十km先に、黒い塔が見える。巡はそれが気になって仕方なかった。

「あの塔を見つけたのか、早いね。」

「!」

後方から声が聞こえた———式也達だ。

「式也…一体此処は何処だ!」

「まあ、落ち着いて。あの塔…見えるよね。」

式也は巡が気になっている、黒い塔を指差した。

「………あれがどうした。」

「あそこまで来れれば、説明してあげるよ。」

「な、なんだと………!!」

巡が何か言いたげだったが、式也は霧に乗じていなくなってしまった。

「…………。行くしか、無いのか。」

巡は腹を切り、黒い塔を目指すことになった。



                   ……

数km歩くと———とある村に着いた。

——とりあえず、此処が何処なのか聴かなければ……

そう思った巡は、近くの年老いた男性に声を掛ける。

「あの…すいません、此処は一体何処なのですか…?」

「おや、旅の人かい?此処はイルシュオンだよ。詳しい話は私のところで聴きたまえ。」

「は、はい……………」

どうやらその男性はこの村の長老らしい。村で一番大きい建物へと巡は連れて行かれた。

「此処は"リム—ヴァルク"の"イルシュオン"だ。」

「"リムーヴァルク"…?"イルシュオン"?」

聴き慣れない単語に、たじろぐ巡。

「簡単に言うとだな…世界の名前が"リムーヴァルク"。そしてこの国の名前が"イルシュオン"だ。」

ちゃんと説明してくれる長老。これなら巡もすんなり理解できる。

——と言うことは、此処は日本のある世界じゃないんだな…どこか別の次元…異次元にでも飛ばされたのか…?

「そして…この国には"太陽"というものは存在しない。」

「!…太陽が…存在しない…?」

「あぁ。その昔はあったらしいが…ある男に太陽エネルギーの全てを奪われてしまってな…」

「……………ある男とは…。」

「さあ…そこまでは分からん。」

「そう…ですか。」

——もしかしたら、その太陽エネルギーを奪った奴を倒すか何かすれば、元の世界に戻れるのかもしれない…

「しかし、居場所なら分かるぞ、ある男の。」

「…!一体何処です、居場所というのは…!」

——今すぐにでも乗り込んでさっさと元の世界に帰りたいものだ。

「教えてもいいんだがな…そいつ、死んだらしいんだ。数年前に…」

「!…死んだ…?……じゃあ太陽が存在するんじゃぁ………」

「いや、ある男は自分の息子にその太陽エネルギーの全てを引き継がせたらしい。だからいまだに太陽は存在しないんだ。」

——息子…ソイツを倒せば元の世界に戻れる——のか?

「………そうだ!俺、あの黒い塔に行かなきゃいけないんだ…!」

「おや、君はあの"ダークサイド校"に用があるのかい?」

「…"校"?あれ、学校なんスか?」

「あぁ。結構人が通ってるんだよ。この村にも一人居てね。"サイレント・ウォーカー"って言ってね。じゃあ彼に案内させようか。どうせ今日は学校休みだしねぇ。」

「…はい、お願いします。」



                   ……

「ウォーカー君、いるかい?」

長老はウォーカーの家(?)の戸を叩く。————が、反応は無い。

「……居ないんじゃないんですか?」

「そんな筈はないんだけどなぁ…ウォーカー君?」

長老はまだ戸を叩く。その時、戸が静かに開き、白髪の少年が出てきた。