ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers ( No.27 )
- 日時: 2011/12/31 14:03
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
家から出てきた"サイレント・ウォーカー"は、静かに長老の説明を聴いている。
時々長老が「分かったかい?」と聴くのに対し彼は静かに首を縦に振っている。
そして長老の説明が終わり、今度は巡の方へ長老が来る。
「えっとだねぇ…彼は人見知りが激しいからそんなに話さないと思うけど…けど彼はイルシュオンの案内人をやっているんだ。だからきっとしっかり案内してくれるよ。じゃあこれで私は帰るからね。気をつけて行くんだよ。」
「はい、ありがとうございます。」
まるでお祖父ちゃんが孫に言い聞かせてるみたいだ。と巡は思う。そして巡はウォーカーの近くに行き、
「俺は巡啓一だ、宜しくな。」
と、一言。ウォーカーは静かにお辞儀をする。
そして巡はウォーカーに対しての疑問をぶつける。
「なあ、お前…喋らないのか?」
突然質問され少し驚くウォーカーだが、彼はしっかりと答える。
『喋れるけど、疲れるから。』
————テレパシーで。
「!…お前、超能力者か何かか!?」
突然脳内から声が聞こえたため、つい非現実的なことを言ってしまう巡。ウォーカーは首を横に振る。
『別に…超能力でもないよ。生まれつき。それに案内人は大体出来る。』
「そ、そうなのか……。だからお前は案内人に?」
『うん。まあ、そんな感じ。君は何でこんな国に来たの?』
イルシュオンに来た理由を聴かれる。
「いや…来たくて来たわけじゃないんだよな…飛ばされた…って感じか?」
『…………誰に?』
何気に詳しく聴いてくるウォーカーに対し、少しだけ警戒を覚える巡。
つい殺し屋の癖で人をすぐには信用しない。
「誰って…多分、お前は知らないと思うが…悪谷 式也、って言うんだ。」
してやられたんだよなー、と言う顔をする巡。ウォーカーは目を見開く。
『その人、知ってる。』
「何だお前、知ってるのか?」
『うん。その人、ダークサイド校の校長やってるから。』
「はぁ!?」
思っても見なかった言葉がウォーカーの口(?)から出たため、つい変な声が出てしまった巡。
「ったく…何してんだよアイツ…俺をこんな所に飛ばしてよ………」
『……イルシュオンは…嫌い?』
少し不安そうな感じで聴いてくるウォーカーに対し、巡は思ったことを言う。
「いや…嫌いとかそう言うんじゃ無くてよ…しかもまだ来たばっかりだしわかんねーよ。………でも俺は、紅い月は好きだな。何か格好いいと思うんだよな。………お前は紅い月、好きか?」
やはり突然の質問。巡は突然質問するのが好きなのだろうか。
『…………よく分からない。紅い月以外に見たこと無いから。なんとも言えないな。』
「そうか。俺の居た世界の月は黄色なんだぜ。」
微笑をしながら歩く巡を見つめるウォーカー。どうやら"黄色い月"に反応をしめしたようだ。
『黄色…見て見たい。』
「じゃあ今度連れて行ってやるよ。……俺が元の世界に戻れたらな。」
『…約束ね。』
「ああ。…………って言うかお前って人見知りじゃなかったのか?」
『人見知りだよ。』
「じゃあ何で俺と普通に会話してんだよ。普通話さないだろ、こんなに。」
『自分でも驚いてる。……初めてなのにこんなに話せる人と会って、今すごい嬉しい。』
「ならいいんだけどよ…かれこれ数十分歩いてるが…まだなのか?」
『うん。あと一時間は軽く掛かるね。』
「そんなに掛かるのかよ!…ったく、遠いな」
ため息混じりに呟く。
「…お前、あの家から通学してるんだよな?」
『うん。』
「…遠くないか?」
『遠いよ。でも校長は、「これも授業の一環だ」とか言ってるから。』
「ふぅん………」
巡が納得をする。瞬間、後ろの雑木林から物音が聞こえた。