ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.28 )
- 日時: 2011/12/31 13:42
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
二人は、物音がした方に目をやる。
「お、おい…ウォーカー。今、音したよな?…………後ろから。」
おどおどしながらウォーカーに尋ねる巡。少し怯えているようだ。
『したよ。…………それがどうしたの?』
「いや、だから………え?」
まるで、自分には関係ないとでも言うような言い方をするウォーカーに、巡は疑問を抱く。
『だってこの森にはそういうの、沢山いるから。』
「マジ…かよ……。」
"沢山"いるというのに抵抗を感じる巡。ウォーカーは慣れているから大丈夫だろうが、巡は只の一般人(まあ殺し屋だが)なのだ。当然、ビクビクしながら前へ進む。
瞬間、物音がした茂みから、黒い物体がウォーカーに向かって跳んだ。
大きさは軽くウォーカーの身長を超えている。黒い物体は雄叫びを上げウォーカーに襲い掛かる。
———がウォーカーは軽々とそれをかわし、黒い物体との距離をとる。
間近で見ていた巡は、早すぎて黒い物体が何か分からなかったが、ウォーカーが距離をとった時点でしっかりと見えた。
黒い物体は…大きな鬣、鋭利な爪、逞しい脚———そう、ライオンだった。
正確に言うならば、ライオンに酷似したものだろう。色が明らかに違う。
通常、ライオンと言うのは全体的に黄色である。が、しかし今、巡の目の前にいる生物は紅———そう、全体的に紅いのだ。
「ら、ライオン…!?何でこんな森にライオンなんかが……っ!?」
『ライオン……?あぁ、キミの世界では、コイツは"ライオン"っていうんだね。』
呑気にテレパシーを送ってくるウォーカー。顔には余裕の表情である、笑みがこぼれている。
「お前……っ!そんなこと言ってる暇じゃないぞ!後ろ!」
二人が会話をしている間に、どうやらライオン(?)はウォーカーの直ぐ後ろに居た。
そして、ウォーカーをライオンの一閃が襲う。
『おっと、危ない。』
それを紙一重でかわし、ウォーカーがズボンのポケットからダガーナイフを取り出す。
「ナイフ……?何でお前そんなもの…!?」
『だってこの森危ないでしょ?それにキミだってナイフ持ってるじゃん。』
どうやら彼は巡のポケットにもナイフがあることに気付いていたらしい。
しかし、ライオン相手に小さなダガーナイフで勝てると言うのか。
ウォーカーは、一直線にライオンに向かい走っていく。
「おい!真正面から行ったら……!!」
巡の静止も聞かず、ウォーカーはライオンの懐まで潜り込み…ナイフを突き立てる。
しかしその瞬間、横から爪の一閃が襲う。
間一髪でナイフを抜き、ナイフでその一閃を受け止める。
『やっぱり駄目か、ナイフじゃ…。じゃあ、こっちは?』
と巡にテレパシーを送りつつ、独り言のように呟くウォーカーは、脚を思い切り振り上げ、ライオンを上空へと飛ばす。
そして、上空から落ちてくるライオンを鳩尾めがけて蹴りを入れる。案の定、ライオンは横に吹き飛ばされ、近くにあった樹木にあたり気絶していた。
「……………。」
口をあけたまま微動だにしない巡を見て、ウォーカーが「どうかしたの?」とでも言うように、首をかしげる。
「……お前…凄いな。」
『そう?これぐらいしなきゃアソコに入学出来ないし。』
アソコ…つまりダークサイド校に入るには、結構な実力がいる、と言うことだろう。
再び物音がする。出てきたのは、やはりライオンだ。しかし、大きさが先刻のものとは大きく異なる。
先刻とは比べ物にならないくらい大きいのだ。
『またか…しつこいな。アレ、きっとさっき倒したライオンのお父さんか何かだよ。』
「何かってお前な………」
『こいつも僕がやるから。君は下がっててよ。』
「いや、いい。今度は俺の番だ。」
『!?』
ウォーカーが止めるが、巡は自分から進んでライオン(父?)に歩み寄る。
親ライオンもそれに気付いたようで、巡に対し威嚇をし始める。