ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.33 )
- 日時: 2012/01/07 09:28
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
『校長室は最上階だからね。』
長い螺旋階段を上りながら、ウォーカーは言う。
数分前、ダークサイド校に着いた二人。中は暗く、どこか中世のお城のような感じがした。今居る階は1階。下には地下室があるそうだ。
しかし、4階あたりから階段が螺旋状になって行き、今の状況に至る。
「おい、ウォーカー。」
ふと、巡がウォーカーの名前を呼ぶ。
『何。』
ウォーカーは階段を上がりながら答える。
「…………………疲れた……」
今の階は、想定15階。普通であれば息切れをしてもおかしくない。現に巡は息切れを起こしている。
しかし——ウォーカーは息切れ一つもせず、只上を目指して上って行く。
『これぐらいで疲れちゃだめだよ。ほら、もう少しで最上階だから。』
まるでお母さん(?)のような言い方をするウォーカーに、巡はため息を着きながら上っていく。
……
ダークサイド校に入って30分後………二人は無事最上階へ着いた。
「な、長かったぜ…………」
汗を流しながら安心する巡。ウォーカーは彼に校長室の場所を教える。
『この廊下の突き当たりに部屋があるから、そこが校長室。』
廊下の突き当りを指差しながら説明する。
ウォーカーの言うとおり扉があり、"校長室"と書かれていた。
「何だよ、お前は来ないのか?」
まるで巡一人に行かせるような物言いでウォーカーが言ったので、巡はウォーカーに聞く。
『え、行くの?…………僕校長先生あんまり好きじゃないんだけど……』
どうやら式也は生徒に嫌われて居るようだ。可哀想に。
……
薄暗い廊下で、巡とウォーカーは校長室への扉を開く。
中は廊下同様薄暗く、机と応接用のソファが2つ、そして校長机がある。
校長机に座っているのは、巡をこの世界に飛ばした張本人——悪谷式也だ。
「おや、もうここまで来るんだ。そこ、座って。」
式也はお調子者のように笑顔で二人を迎える。
「式也。俺の質問に、嘘偽りなしで答えろ。」
内面ではとても怒っているのだろうか。表面の無表情は崩さず、口から低い声で質問をする巡。
「どうぞどうぞ、何でも聞いてよ。」
校長机の上にあった大量の書類をまとめ、下におきながら巡に相槌を打つ。
「………………俺を、…美優達を何故この世界に連れてきた!?」
書類を片付ける式也を睨みつけるように目に力を入れ、強めに言葉を発する。
式也は、「あぁ、そのことか……」と言い、書類の片づけを一旦やめ巡の方を向く。
「理由はね……簡単なんだけど…あぁ、いいにくいなぁ………」
中々答えない式也。
「あぁ、何て言おうかなぁ………」
「…………」
それを見る巡とウォーカー。
「でも言ったら怒られるよなぁ……絶対なぁ………」
「…………」
『………』
「はぁ……」
「いい加減にしろぉ!!さっさと言えよ!」
ついには巡の忍耐力が尽きたのか、キレてしまった巡。ウォーカーは少し肩を上げる。
「だって、怒るでしょ?」
まだ言っている式也。大の大人が、一体高校生に何を言っているのやら。
「怒らねぇから!むしろ言わないほうがムカっとするから!」
ついには漫才のようになってきてしまった。役割を決めるとしたら、式也がボケで巡がツッコミであろう。ウォーカーはきっと観客席に居るに違いない。
「じゃあ分かった、言う!実はね、君達、間違えてこの世界に飛ばしちゃったの。」
式也の言葉は、巡が予想していたものを大きく下回り……
とてつもなく意外な言葉として巡の心に突き刺さった。
「はああぁ!?」
巡の叫び声が響き渡るダークサイド校………
巡は、元居た世界へ戻れるのであろうか————