ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.34 )
- 日時: 2012/01/07 22:05
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
「間違えて飛ばしただと!?」
激昂してしまう巡。当然と言えば当然なのが…………
「ほら怒った!だから言いたくなかったんだよ!」
式也はこう言う。……まるで親父と息子だ。息子が0点のテストを隠しており、父は「怒らない」といい、息子は正直にそのテストを父に見せる。——が父は0点のテストを見た瞬間激昂してしまう。息子のいいわけは、「だってお父さん怒らないって言ったじゃん!」…と言うようなものだろう。そのような現象に酷似している。
「………分かったから。間違えて飛ばしたことを詳しく、かつ正確に言え。」
どうやら巡は怒ることをやめるようだ。
しかし……より式也を睨みつける目に力がこもったように見える。どうやら先刻より怒っているが必死に怒りを抑えて居るようだ。
式也はゴホンッと咳払いをして、先刻のお調子者の雰囲気を出さず、校長らしい雰囲気を出す。
「間違えて飛ばしてしまったのは……僕がこの世界に来ることが癖になってしまったからなんだ。」
「癖だと?」
巡は式也の発言に突っ込む。
「まあ、全部聞いてよ。」
巡の発言を、巡の前で掌を向け静止させる式也。再び口を開く。
「本当は君たちを連れてくる気は無かったんだけど…なんか問題が起きちゃったのかな?連れてきちゃったんだ。だから、元の世界に返してあげたいんだけど……あいにく、あんな大人数を連れてきちゃって魔力が足りなくなっちゃってね……。」
参ったなぁと呟く式也を横目で見ながら、巡は言う。
「じゃあ、お前の魔力が回復したら、帰れるんだな!?」
「え?うん、そうだけど……難しいよ?」
君たちにできるかなぁという挑発的な目線を送ってくるので、巡はその内容を聞いてみた。
「まず……僕の後ろの壁、あるでしょ?」
式也は自分の背後の壁を指す。その白い壁には、7つのくぼみが入っている。一体何をはめ込むのか。それとも只の模様なのか、それはまだ分からない。
「あそこのくぼみにはね、7つの結晶【クリスタル】が入るんだ。」
「結晶【クリスタル】……?」
『……リムーヴァルクに7つ存在するという…結晶【クリスタル】……』
今まで話していなかったウォーカーが、急に反応するようになった。
「なんだウォーカー、知ってるのか?」
巡はウォーカーの方を向き言う。
「おや、ウォーカー君…もう彼と仲良くなったのかい?良かったね。」
式也はウォーカーの方を見てニコニコしている。しかしウォーカーは怪訝そうな顔をする。
「で………その結晶【クリスタル】を、集めて来いと?」
「うん、物分りが早くて助かるよ。」
「………まあ、これで帰れるんなら……なぁ?……じゃあ、行くか?」
巡はウォーカーに言う。ウォーカーは静かに、うなずく。
しかしその時、校長室の扉が開く。
「私も行きます!」
甲高い声が、校長室の中に響き渡る。