ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.35 )
- 日時: 2012/01/08 19:55
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
校長室に響いた声の主は、お下げの眼鏡少女——つまりは神崎美優。
「みっ、美優!?」
巡は驚き、校長は笑い、ウォーカーは首をかしげ、それぞれ自分なりの感情表現をしている。
体育館に居た美優は操られ、目に光が無かったが今は違う。しっかりとした意志が読み取れる。
「啓一君………私も戦います!」
「み、美優……?戦うって……?」
いきなり"戦う"という単語を目の前の少女に言われたので、少し混乱する。
「あ、まだ言って無かったね。」
式也は手をポンッと叩く。コイツはどこか抜けているのだろうか———
「なんだよ、戦うって。」
巡はさっき抱いた疑問を式也に問う。
「さっき話した結晶【クリスタル】って、魔物の身体に埋め込まれてるんだよね。」
「う、埋め込まれてる!?」
「うん。それで、その結晶【クリスタル】が埋め込まれた魔物のことを、皆は"クリスタクト"って言うんだ。」
「クリス…タクト?」
"クリスタクト"という新しい単語が出てきたせいか、巡の頭はまだ混乱している。
「それで……そのクリスタクトを倒さない限り、身体に埋め込まれた結晶【クリスタル】は手に入らない。」
「と、言うことは、7人のクリスタクトを俺達で倒して来い……と?」
「そうなるね。」
相手が魔物———巡達に勝算があるのかどうかはさておき、巡は自分と美優達を自分たちの世界に返してあげたい(っていうか返りたい)ので、すんなり了承する。
話を聞いていた美優も、それに了承、ウォーカーも同意した。
「でも……美優は連れていけないな。」
もちろん美優はか弱い女性だ。相手が魔物だというのに、多分女性では勝ち目がない———逆に美優が危ない目に遭ってしまうと思ったのだろう。巡はそういった。
「あぁ、それなら大丈夫だよ。」
巡は美優に言ったはずなのだが、式也が代わりに答えた。
「……大丈夫って何だよ。美優は女だぜ?」
「……………………」
美優は深刻な顔をしたままだ。きっと巡に着いて行きたいのだろう。
「彼女も"能力"に目覚めたからね。」
「……………"能力"?」
「うん。そう。回復能力。とっても役に立つんだよ。」
美優が回復能力を持って言るなど、聞いたことがない。きっと美優を無理やり連れて行くための口実だろうと巡は思う。が、
「本当だよ、啓一君…ほら。」
美優は、ダークサイド校に来るまでの道のりでおった脇腹の怪我を両手で恐る恐る触る。その瞬間、美優の手から淡い白のような光が出現し、巡がライオンに喰らった傷があっというまに消えてしまったのである。
「なっ………!?」
巡はそれに驚き、傷口をみたが、あるものは爪の後で破れた制服のみ、傷口は一切無かった。巡は顔を上げ、美優の顔を見る。美優は笑顔で「よかったぁ…。」と呟いている。
「ほら、言ったでしょ?」
式也が言う。確かに彼の言ったとおり、美優は回復能力を持っていた。それも結構な資質だと彼は言う。
「じゃあとりあえず……"イメルシの洞窟"に行ってもらおうかな?」