ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.36 )
- 日時: 2012/01/11 19:03
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
「"イメルシの洞窟"?」
「そう。イメルシの洞窟。ウォーカー君なら知ってるよね?」
式也はウォーカーの同意を求める。
『はい。………イルシュオンの東にある洞窟のことです。……あそこは人が近寄らないため魔物が住み着いてしまったとか……。』
「せいかーい♪で、そこにクリスタクトがいるの。」
「!」
クリスタクトが人気の居ない東の洞窟、イメルシの洞窟に居ると聞き、巡はすぐさまウォーカーと美優を連れ行こうとしたのだが、式也に呼び止められる。
「これ、付けないと、君にクリスタクトは倒せないよ?」
そう言い式也が渡してきたのは、エメラルドグリーンの宝石が埋め込まれたブレスレットだった。
「……どういうことだ?」
「クリスタクト…まあ他の魔物もそうなんだけど、簡単に殺されないために自分の周りに防御膜を張っているんだ。人間の武器じゃあ歯が立たないよ。それで、その防御膜を破壊することが出来るのが、そのエメラルドグリーンの宝石。それを付けてれば、人間の武器でも魔物を倒すことが出来る。」
「………………。」
巡は無言で式也が渡してきたブレスレットを受け取り、右手の手首にそれを付けた。
「…これで良いのか?」
式也に聞く。
「うん、バッチリ!じゃあ、魔物退治頑張ってね。イメルシの洞窟にいる"ビビジガン"っていうクリスタクトは、クリスタクトの中で一番最弱だから、直ぐ終わると思うけどね〜」
巡の去り際に、イメルシの洞窟のクリスタクトの情報を喋る式也。しっかり巡の耳に届いてるといいが。
……
巡、ウォーカー、美優は、イメルシの洞窟へ向かうため東の方角へ進んでいく。
ダークサイド校はイルシュオンの少し西側に位置するのだが、イメルシの洞窟は東…16方位で言うと東北東のあたりに位置する。それも、端の方。
一行は歩いていくということは避けたいので、どうやって東まで進むか考えていた。
急にウォーカーが、地面に魔方陣を描いていく。カリカリという地面を削る音が三人の空気を独占した。
巡と美優は興味深そうにウォーカーを見つめ続ける。対するウォーカーは、一生懸命に魔方陣を描き続ける。
『…………できた。』
どうやら完成したらしい。直径1mぐらいであろうか。その内部には、何処の言葉か分からないような文字のようなものがびっしり書いてある。
「………で、これをどうするんだ?」
巡はウォーカーに質問をする。ウォーカーは『まあ、見てて。』と言い、なにやら謎の呪文を言い出す。
ウォーカーが呪文を言い出すと、魔方陣が輝きだし三人は光に包まれた。
……
光が消えた後———目を開けると、先刻とは違う景色が三人の目に入ってくる。
移動でもしたのであろうか。先刻浴びていた風と違うような感じがすると巡は思う。
そして周りを見渡したが、姿がない。そう、人が全くいないのだ。そして目の前には空洞——大きな空洞が巡達の目の前に佇んでいる。
そう、三人は一瞬にしてイメルシの洞窟の入り口まで来てしまったのだ。ウォーカーの力により。
巡と美優は冷や汗をたらし動かなくなってしまっている。どうやら驚きで身体が動かないらしい。