ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.37 )
- 日時: 2012/01/22 17:04
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
『…………大丈夫?』
ウォーカーは動かなくなってしまった二人をし心配そうな眼差しで見る。そのおかげで我に返ったのか、二人は動くようになった。
「あ、あぁ。悪ぃ。ちょっと驚いてたんでな。」
『…それにしては長すぎだよ。死んだのかと思った。』
「おまっ…死んでねーから!」
汗をかきながらウォーカーに言う巡。ウォーカーは巡のツッコミに対して笑っている。
美優はそんな二人を見てこう思った。
——なんか、仲のいい兄弟みたいだなぁ…
と一人で思い、勝手に和んでいた。
……
「そういえば…なんでウォーカーはあの学校に入学したんだ?」
洞窟内。巡は先を歩くウォーカーに問いかける。
『………………。』
しかし、ウォーカーは沈黙。
「あ、もしかして、聞いちゃいけなかったか?」
何か悪いことを聞いてしまったような気がしたので、そう言った。しかし、ウォーカーは振り向かず、首を横に振った。
『いいよ。別に聞いても。そんな大層な理由じゃないし。』
「……そうなのか?」
少しウォーカーに悪いことをしてしまったかな、と思った巡に対し、ウォーカーは自分が入学した理由を二人に話し始める。
『……僕は、3人家族だったんだ。母さんと僕と妹。父さんは僕が生まれた時には既に居なかった。僕達はイルシュオンで普通に生活をしていた。ある日、僕に案内人の素質があると母さんに言われたから、僕はイルシュオンの案内人になることを決意した。僕はその日、イルシュオンを案内できるように、旅に出た。…その次の日、イルシュオンの長老が僕の元に走ってきて、こう言ったんだ。"お前の母と妹が、魔物に殺された"って。』
「…………。」
二人は沈黙する。やはり気か無い方が良かったのでは無いかと巡は思えてきた。
『それで、その魔物がクリスタクトに居るって聞いたんだ。』
「!ってことは、お前は敵討ちのために……」
『そうだよ。だから僕は強くなるために、ダークサイド校へ入って、イルシュオンの案内人になったんだ。』
巡より年下であろうウォーカーは、とてつもない人生を歩んできた。巡も殺し屋だが、そんなに人生は酷く無い。巡にはちゃんと家族が居る。しかし目の前のウォーカーは…居ない。
「…悪いな。こんなこと聞いちゃって。」
巡は謝罪する。ウォーカーは『いいよ』と首を横に振る。美優は少し目じりに涙を浮かべていた。
そのときだ。洞窟内で何かの羽音がした。
3人はすぐさま戦闘体制(美優はウォーカーと巡の後ろへと移動)になる。そして暗い洞窟の先から出てきたのは———
「こ、蝙蝠!?」
大量の蝙蝠であった。群れを成している。このまま外に出るのであろうと戦闘体制を解除する3人。
しかし、蝙蝠は巡達の方へ一直線に飛んできた。戦闘態勢を解除していたので、巡達はガードが遅れてしまった。
……結果、蝙蝠の群れの攻撃を、真正面から受けたことになる。