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Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.39 )
日時: 2012/01/22 17:09
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)

                   ……

「何だ、俺が何でクリスタクトって分かったんだ?お前ら。」

目の前の男…きっとクリスタクトの一人、ビビジガンであろう人物が3人に話しかける。どうやら敵意は無いように見える。

「な、なあ、ウォーカー…コイツ、本当にクリスタクト…ビビジガンなのか?」

巡はウォーカーに小声で問いかける。ウォーカーは少し冷や汗をかき、『…多分』と呟いた。

それが美優にも聞こえていたのか、2人は再び不安に包まれる。

「ま、まあ、自分でクリスタクトって言ってるから…な?」

『嘘かもしれないよ。自称クリスタクトとか居るから。』

ウォーカーは言う。

「だってバッジもそうなんだろ?」

『偽者かもしれないよ。あれは職人なら誰でも作れるし。』

…ことごとく巡はウォーカーに否定されまくっている。流石に応えたのか、巡は無言になってしまった。

「…お前ら、本当に俺がビビジガンって信じない…のか?それはそれで悲しいんだが…」

2人の会話を聞いていたのか、巡が無言になったあたりから3人の方に向かって言う。目は悲しげだ。どうやら彼は本当にビビジガン…らしい。

「よ、良かったね啓一君!啓一君の言ってたことは本当だったんだよ!」

美優は必死に巡に話して欲しく、頑張って巡を褒めて(?)いる。

『じゃあ君がビビジガンということを信じて、僕らは君を倒しに来た。』

単刀直入に言うウォーカーを、止めようとしたが巡は遅かった。

ビビジガンは「ほう」という顔をして、いったん考え込んでいたが、直ぐに口を開く。

「前にも俺を倒そうとして、何人も死んでいったからな。俺を甘く見ていると怪我するぜ?それでもいいんなら、かかって来いよ。」

指を自分の方へクイクイッと動かす。どうやら巡達を挑発しているようだ。巡はそれを見て、ウォーカーに「どうする?」と聞く。

『相手はクリスタクト最弱。………でも、いくら最弱と言っても、クリスタクトはそこらへんの魔物より数段も強い。だから簡単に勝てる相手じゃないと思うよ。だけど、今は体調も万全だし、此処まで来たんだから倒すのは今しか無いと思う。』

ウォーカーはビビジガンに聞こえないように、しかし巡と美優には聞こえるようにして自分の意見を言う。巡は少し考え込み、頷く。どうやらウォーカーの意見に肯定したらしい。美優も同様である。

そして巡はビビジガンの方へ向き…

「俺達がお前を倒してやるから、覚悟しろよ!」

という台詞を吐いて、ビビジガンから間を取る。対するビビジガンは陽気な笑みから妖気な笑みに変わり、「お前こそ、覚悟しろよ。」と言い少し後ろに下がる。やはり最初は相手の出方を見るようだ。

ウォーカーと美優は巡より5歩ほど後ろの方で待機している。2人とも(ウォーカーは少し違うが)接近戦はあまり得意では無いので、後方から巡をフォローすることにしたのだ。

そして…数分の沈黙の後、地面を蹴る音が洞窟内に響き渡る。

先に動いたのは———————巡。